こんにちは。今回は「しごとの楽屋」と題しまして、LINEの様々なプロジェクトの楽屋トーク(裏話)をお届けします。1回目として、LINE NEWSの平昌五輪特集を担当したチームに、おじゃましてきました。

平昌五輪の熱戦の裏側で、LINE NEWSにはどんなドラマがあったのか。チームのリアルな雰囲気やワークスタイルをお届けできればと思います。

まずはメンバー紹介から。

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LINE NEWSの平昌五輪特集を担当した、左から、塩畑大輔さん(編集)、谷井敬一さん(デザイン)、小野将司さん(開発)、大槻友諒さん(開発)、橋本建吾さん(デザイン)、渡邉雄介さん(企画)、西山拓央さん(企画)。この記事の担当含め、メガネ率高めです。

■LINE NEWS 平昌五輪特集
LINE NEWSで初めて実施した五輪特集。大会期間中(2月9日~2月25日)に、LINEアプリのNEWSタブ内に「平昌五輪タブ」を設置して、速報データ(各国のメダル獲得数、試合結果など)を表示していました。さらに、特別マガジン「平昌五輪☆トゥデイ」の登録者に、試合のハイライトや結果速報を毎日トーク通知していました。

プロジェクトの流れを時系列でまとめると、こんな感じだったそうです。

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それでは、平昌五輪特集を振り返る、楽屋トークをお楽しみください。


1) 初企画、失敗しないためには?


「LINE NEWSのスポーツ部門強化」という目標から立ち上がった平昌五輪特集。2017年10月頃には企画が固まり、本格的に開発がスタートしました。しかし独自のシステムづくりはトラブルが多発して大変だったそうです。


――初めて五輪特集、おつかれさまでした。今回は、通常のニュース記事と違うシステムの開発が必要だったそうですね。

小野(開発)はい。通常のニュース記事はある程度決められたフォーマットがあります。でも今回は「羽生くんが何番目に滑って、SP何点です」といった、記事とは全く別の数値データが送られてきます。だからまず「データをどう取り込むか」を焦点に、システムの構築をスタートしました。新しくシステムをつくることは楽しそうでテンションが上っていたのですが、正直大変でした。

西山(企画)まず競技が102種目もあるんです。102種目それぞれルールが違うものを、どうスマホの同じ画面に収めていくか……、これを考えるのが難しい。競技の内容を把握するだけでも時間がかかりました。結局、タイムや評価で争う「ランク型」と、チームで戦う「対戦型」の2つに分けたんですが、そこに収めるのも難しくって。

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左が「ランク型」で、右が「対戦型」。


――102競技もあったんですか! 競技を把握するだけでも大変ですね。

小野(開発)ええ。それだけの種目を全部ひとつのデータ形式で表そうとすると、やっぱり無理がでてくるわけです。データ配信元から想定外のデータがくる可能性も高い。最初からリスクがあるのはわかっていたんですが……。

大槻(開発)今回、試合結果などのデータを他社から購入していたんですが、蓋を開けてみたら、僕らが求めていたものとは違っていて、想定外の部分にカンマが入っていたり、英語と日本語が混在したりしていました。

――それは焦りますね。想定外の状況にどう対処したんですか?

小野(開発)1~2カ月前、テスト段階で問題を把握していたので、僕は念のため、勝手に翻訳ソフトをつくっていたんです。その後、通信社にも細かい調整をお願いしましたが、やっぱり時間がかかる。最終的には、「翻訳は自前(LINE社内)でやりましょう」と社内でGOサインが出たので、用意していたモジュールを追加して対応しました。それが開幕まで1カ月を切ったあたりです。ギリギリでした。

渡邉(企画)翻訳ソフトはGOサインが出てからつくっていたら間に合わなかったと思います。うまく乗り切れたのは、システム開発のメンバーの周到な準備のおかげですね。

■編集担当のメモ
✓ スマホの画面でも全102競技の結果を快適に見られるよう、システムづくりに注力した。
✓ 五輪はリスケできないから、テスト段階で問題を把握し、念のため、自主的に翻訳ソフトを作っておいた。


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リスクを見越して自主的に翻訳ソフトをつくった、小野さん。


2) UIのクオリティを上げるには?


五輪の盛り上がりを伝える大事なUI。でも今回、LINEは公式スポンサーじゃなかったので、平昌五輪公式の素材が一切使えず、大変だったそうです。


――デザイナーのお二人は、どんなこだわりでUIを設計していたんでしょうか。

谷井(デザイン)公式のロゴと代表的な選手の写真が使えない中で、どうやって五輪感を演出するか。フリーの写真サイトから、競技に合う写真を見繕って、代表選手っぽく見せるように加工したり、そういうことに苦労しました。

橋本(デザイン)全体のディレクションとしては、公式素材を使用できない分、写真の力を最大限利用しようと思ってたんです。選手が競技している姿が一番感動を伝えられるので、写真のチョイスには一切妥協せず、大きく使うという方針でいきました。スポーツ新聞的な感じです。

塩畑(編集)確かに写真は大事ですね。毎日写真が変わると、更新感、まさしく今ライブで競技をやっているっていう印象をユーザーに届けることができます。編集側でも大事にしたいポイントです。

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UIデザイナーの橋本さん(左)と谷井さん。

――谷井さんは、メダルのアイコンを作ったと伺いました。

谷井(デザイン)はい。このメダルは、そんなに時間がかかってないと思われるかもしれませんが、最終的なものに至るまで、実は30個くらい作ったんですよ、僕。

一同:えー!

小野(開発)金色の丸を描いてちょん、じゃなかったんだ(笑)。

谷井(デザイン)いやいや(笑)、実はすごい苦労したんです! 平昌五輪の実際のメダルってギザギザのテクスチャーなんですが、それをマネしたり、光の当たり方や角度まで調整したりして、あの形でいくことになったんです。クオリティの高さはもちろん、LINEっぽさが入っているか、トレンドをおさえているかということも考慮に入れて、最終的に「これでいこう」となったんです。

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最終版のメダル画像。

橋本(デザイン)ウチの会社は、デザインの細部までこだわる文化があって、デザインはいつも1000本ノック状態でやるんです。実際の表示は小さくても、細部に渾身の力を込めて良いものを目指すことで、全体のUIも良くなってユーザーのニーズを捉えられると信じてやっています。細部へのこだわりが、LINEのデザインへの信頼度を上げ、LINE全体の評価に繋がっていると思います。

■編集担当のメモ
✓五輪の公式素材が使えない中で、ユーザーが読みたくなるよう、写真で更新感を出していった。
✓細部へのこだわりがLINEのデザインへの信頼度をあげるため、メダルのアイコンは30種類も作成した。


3) どうやって更新遅れを取り戻した?


五輪は、直前までわからないこと、が多かったそうです。参加国のエントリーを2週間前まで受け付けているので、個人で参加するロシアの選手や北朝鮮の出場がわかったのもギリギリ……。できる限りの準備はしたものの、ぶっつけ本番のような状態で、LINE NEWS初の五輪特集は、バタバタと幕を開けました。


――開幕直前の調整が多くて大変だったようですね。開幕当初はどんな様子だったんですか?

西山(企画)配信元のデータとのマッチングが不安なまま、開幕日の2月9日を迎えました。開幕してから、最初のうちはデータの遅延が起こっていました。最初の2、3日はずっとテレビ中継を見ながらどれくらい遅れているのかチェックして、配信元の会社と連携していました。

小野(開発)最初の種目がスキージャンプだったんですが、開始30分たっても更新できなかったんです。他のニュースサイトを見ると5分おきくらいに更新がかかっていました。これはマズイ……と。2時間遅れで、ようやくうまくいき始めました。

渡邉(企画)更新の速いニュースサイトは、注目競技に関しては手動で運用していたようです。開始1週間はスピードで明らかに差が出ていたので、悔しかったですね。スマホの速報だと数秒の差も大きいですし。

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競技の裏側で、更新スピードの競争があったようです。当時を振り返る渡邊さん。

――最初の更新遅滞をどうやって改善していったんですか?

西山(企画)改善できた理由の一つは、外部提携先を含む関係者でグループをつくって、情報共有を密にするようにしたことです。問題があれば、適宜対応できるようになりました。

小野(開発)僕は、開幕した週の日曜に友人の結婚式があったんですが、不具合修正がどうしても必要になってしまい、正装で休日出勤してそのまま結婚式に行きました(笑)。個人的に、「無理そうな仕事は実際に無理なので断るけど、面倒そうな仕事は面倒なだけなので妥協しない」ようにしています。これも面倒だったけど、翌日以降は安定したんでやった甲斐はあったなと。

――正装で不具合修正……! でも、そのおかげで安定したんですね。

西山(企画)そうやって柔軟に対応してくれるメンバーだったから、走りながら改善していけたんだと思います。競技時間が早かったり遅かったりしたのですが、期間中は臨機応変にやってくれました。

■編集担当のメモ
✓ 開幕後、外部を含む関係者グループをつくって情報共有を密にすることで、更新速度をあげていった。
✓ 期間中は、休みの日でも臨機応変に対応し、システムの状態も改善していった。


4) 記事のバリューを上げるには?


単純な試合結果は、自動配信システムをつくっていましたが、詳細な情報を出すのは編集メンバーでした。編集部では、毎朝その日の注目競技をまとめた特別マガジン「平昌五輪☆トゥデイ」の発行と、日本人選手がメダルを獲得したときに出す「号外」づくりに奮闘していました。


――編集メンバーが注力したポイントはどこだったんでしょうか?

塩畑(編集)編集部としては、メダル獲得の号外をできるだけ早く出すことに力を入れていました。他の記事はほとんど、新聞など一次媒体の記事をまとめる形なんですが、号外は書き起こしなんです。

だから、誰がメダルを取るのか、幾つかのパターンを想定して準備しておきます。例えば、女子のスピードスケート1000メートルでは、小平選手が銀メダル、高木美帆選手が銅メダルを獲得しました。そのときは、最終組が終わるまで誰がどの色のメダルを獲るのかわからない状態なので、当初は号外を8パターンくらいつくっておいて、レースの流れを見ながら、「小平選手の金が消えた」「複数メダルの可能性はある」「高木美帆選手に2つ目のメダルの可能性ある」など、状況に応じて、どの事象にニュースバリューがあるのかも考えながら絞っていきました。

大槻(開発)すごい。編集部はそんな苦労をしていたんですね。

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ニュースバリューを瞬時に判断して、トーク配信していた号外。

塩畑(編集)私は去年までスポーツ紙(日刊スポーツ)で記者をしていたんですが、日刊紙とネットニュースだとやっぱり求められるスピードが全然違うんですよね。

今回も第一報をすばやく打つのはもちろん、早めに第二報を掲載するというのを強く求められていました。なぜこの選手はメダルが取れたのか、といった背景に触れるアイテムですね。出場選手の背景に関する元記事は事前に出ていたりするので、使えそうなものをあらかじめ確保しておいて、結果を伝える記事と組み合わせて三段まとめにしたりもしました。そのためにも、アスリートのリサーチは周到にしていましたね。

西山(企画)翌日の注目度を決める上で、リサーチは企画側でもしていました。あと今回、アクセス流入の監視ツールを用意してもらって、リアルタイムに状況を把握できるようにもしていました。だから「今、この競技がよく見られています」というユーザーの動きを見て、翌日の「今日の注目競技」の掲載競技を選ぶときの参考にしていましたね。

――平昌は風の影響なんかで競技日程とか、スタート時間がよく変わってましたよね。

塩畑(編集)そうなんですよ。毎日朝に届ける「マガジン」(平昌五輪☆トゥデイ)の編集が大変でした。「マガジン」では、その日の競技の見どころと注目競技をまとめたものを9本束にして送っていましたが、スタート時間が変更になると、修正が多くなります。

編集部は朝番、午後番、深夜番の交代制で対応しました。私は出張が重なって、出張先から記事を確認するっていうこともありましたね。今回の特集では、普段はスポーツに興味がないメンバーも一緒に編集しました。でも、大変な時期を通して、最終的にはみんな五輪に染まって、テレビを見ながら熱く応援できたんで、いいチームだな、楽しいなって思いました。

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塩畑さんたち編集部のメンバーは、大会が進むにつれ、絆を深めていったようです。

■編集担当のメモ
✓ どこよりも早く号外を出すために、徹底リサーチをして予定稿を8パターンも作成。
✓ 試合を見ながら、ニュースバリューを考え、柔軟に号外タイトルを絞っていった。
✓ スピーディに第二報を掲載するため、前もって周到にアスリートのデータを集めていた。
✓ リアルタイムのアクセス流入をもとに、翌日の掲載競技を決定した。
✓ 普段はスポーツに興味のないメンバーも平昌五輪に染まって、最後はみんなで応援できた。

毎朝配信していたマガジン「平昌五輪☆トゥデイ」はこんな感じでした。

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5) 五輪の経験、今後どう活かす?


平昌五輪特集は、苦労も多かったようですが、期間中に「平昌五輪☆トゥデイ」の購読者数は、約130万人にものぼる結果になりました。五輪特集のノウハウが、今後も、プロ野球やサッカーW杯の報道に活かされていくそうです。


――五輪特集を振り返って、今後の目標はいかがですか?

西山(企画) LINE NEWSのスポーツ展開は、今後、東京五輪やワールドカップなどの国民的なビッグイベントはもちろん、プロ野球、Jリーグなどのスコア速報提供や、ダイジェスト動画配信などにも拡張していきます。スポーツニュースのNo.1サイトを目指し、日々邁進していきます。平昌五輪は、その試金石としていい経験になりました。何より、今後の課題が見えたのが良かったです。

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もともとスポーツ好きで、2017年7月にLINE NEWSのスポーツ部門に異動してきた西山さん。

塩畑(編集)編集面では今後、オリジナルのコンテンツをもっと厚くしていきたいですね。閉幕後、何人かの出場選手に取材依頼をかけているんですが、金メダリストなど、大会後にたくさん報じられた方は候補リストから外させていただいています。他の媒体が報じない知られざるエピソードを掘り出したいですし、「苦境からどう巻き返すか」というストーリーの方が、うちの社の歴史ともリンクするんじゃないかと。

小野(開発)システムの話でいうと、今回つくったデータを自動で取り込むシステムは、他のプロジェクトでもかなり使えます。すでに4月から、プロ野球の速報で使用していますが、リアルタイムでスコアがわかって、かなりうまくいっていますね。

――五輪のシステムをもう他のところで使っているとは、速いですね!

渡邉(企画)LINE NEWSは、今も右肩上がりで成長を続けていて、トラフィックも国内No.1を狙える数字になってきました。今後、LINE全体のコンテンツの入口を担っていくプロジェクトでもあります。平昌五輪特集は、その動きの一つとして、良い結果を残せたと思います。

■編集担当のメモ
✓ LINE NEWSらしいオリジナルコンテンツを厚くしていこうとしている。
✓ 平昌五輪用に開発したシステムを、すでにプロ野球速報で使用している。
✓ LINE全体のコンテンツの入口を担うプロジェクトとして、LINE NEWS事業を拡張に情熱を燃やしている。


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楽屋というよりは、運動系の部室のような雰囲気で話をしてくれたLINE NEWSの皆さんでした。もし、このチームの仕事に興味がありましたら、下のリンクから、部室(?)のドアをノックしてみてください。


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