LINEでは、毎月最終金曜日に、「WOW FRIDAY」という社内イベントを開催しています。WOW FRIDAYは、LINEの中の「WOW=NO.1」なプロジェクトの事例や、その裏側、プロジェクトにどのような情熱をもって取り組んだのかをLINER(従業員)同士で共有する場です。現在、在宅勤務中のLINERも参加できるようにオンラインで実施しています。
 
そんな社内イベントの中で、今月のWOWなプロジェクトとして語られた、「新型コロナ対策のための全国調査プロジェクト」と「LINE Search 検索数3倍増加プロジェクト」のエピソードを少しだけご紹介します。
 

準備期間は1週間。「新型コロナ対策のための全国調査プロジェクト」


まずは、新型コロナ対策のために立ち上がった全国調査をご紹介します。この調査は、厚生労働省に協力し、2020年3月から5月までに計4回行われました。(厚生労働省による調査分析結果はこちら
 
15歳以上~110歳以下の有効回答は、第1回=24,011,023人、第2回=24,209,762人、第3回=23,374,019人、第4回=18,121,559人と、非常に多くの方に回答いただいたこのプロジェクトがいかにして実現したか。担当者を代表し、公共政策室の福島と米倉、ビジネスプラットフォーム企画センター 岡の3人が経緯と取り組みの詳細を語りました。
 

右上から時計回りに、福島、米倉、岡と、WOW FRIDAYの司会進行役を務めたLINE STYLEチームの笠岡。
 
岡:「新型コロナ対策のための全国調査」を担当した岡です。このプロジェクトをあらわす、LINE STYLEのキーワードは「Users Rule(全ての原点は、ユーザーニーズ)」だと思います。



LINE STYLE BOOK」より。
 
岡:まずは、この全国調査がどういうものなのかを説明します。



 
岡:「3月末から、5月のゴールデンウィークにかけて、LINEの国内アクティブユーザ約8,300万人を対象に、全国規模で実施したアンケートプロジェクトです。厚生労働省と協定を締結し、厚生労働省の取り組みにLINEが協力する形でこのプロジェクトが実現しました。日本国内における新型コロナウイルス感染状況の把握や、感染拡大防止のための情報収集を目的として実施しました。

福島・米倉:全国調査を行うことになった背景として、政府・官公庁・自治体や、各団体との折衝・渉外を担当している私たち公共政策室の取り組みも少しご紹介します。
 
1つ目は、今年2月、厚生労働省から当社公共政策室に、新型コロナウイルスに関する問い合わせが非常に多く、厚労省のコールセンターが逼迫しているという相談を受けて、「新型コロナウイルス感染症情報 厚生労働省」というLINE公式アカウントを開設しました。
 
そしてもう1つ、こちらも厚労省に協力する形で、ダイヤモンドプリンセス号の乗客やクルーにLINEをインストールしたスマートフォンを配布し、LINEで薬のリクエストや、医師や心理カウンセラーに相談ができる仕組みを提供しました。
 
こうした、厚労省との取り組みの下地が、全国調査プロジェクトに繋がっていきました。
 
岡:ここからは、全国調査プロジェクトに関するポイントを3つ、ご紹介します。



 
岡:1点目は、実現までのスピード感が半端じゃなかったこと。3月25日にプロジェクトがスタートして、ゼロから全国規模の調査実施までを1週間という短期間でやり切ったことです。公共政策室と厚生労働省との取り組みの下地があったことに加え、約30人のコアなプロジェクトメンバーが、それぞれの役割のもとスピード感を持って進めたことで1週間でやり切れたと思っています。
 
2点目は、ユーザーのことを第一に考えながらプロダクトを追求したことです。トークルームに送られてくるメッセージで「今の体調は良いのか、悪いのか」を聞いて、体調によって遷移するフォームが変わる仕様にすることで、本当に聞きたい内容だけに絞って、最小の負担でユーザーから回答いただけるようにしました。
 
また、SNSやカスタマーケアでユーザーの反響を確認して調整を繰り返しました。LINEに届く文字情報を読みづらい方や、視覚障がいをもつ方たちにもきちんと届けられるように、ボイスオーバー対応を追加するなど、いろいろなアプローチ方法もとりました。
 
ユーザーが受け取る通知内容に対してどう感じるか、ユーザーの負担にならないようにするにはどうすればいいかを常に意識していました。
 
3点目は、東日本大震災の後にLINEができて、災害とは異なりますが、こうした未曽有の状況下で、多くのユーザーのみなさまにご協力いただき、社会に大きく貢献する情報を提供することができたという点です。
 


岡:短期間でしたが、約30人のコアメンバーによる本当にすごい働きとスピーディな連携でプロジェクトを成功させることができました。ご協力いただいたLINERの皆さん、本当にありがとうございました。

「大胆で勇気ある挑戦」が生み出した「LINE Search 検索数3倍増加プロジェクト」


次は、LINE Search 検索数3倍増加プロジェクトをご紹介します。LINE Searchを担当する組織(Searchセンター)は2020年3月に発足したばかりのチームで、わずか数カ月で1日あたりの検索回数を3倍以上にも引き上げました。その裏側には、どんな努力と挑戦があったのか。Searchセンターが目標を達成するまでのプロジェクトの裏側について、検索サービス企画室 メディア検索企画チームの飯野、LINE Searchの品質管理責任者の千葉、検索編集部 部長の末弘の3人が紹介しました。
 
 
左下から時計回りに、千葉、飯野、末弘。
 
飯野:まず、LINE Searchの検索数3倍増加プロジェクトのLINE STYLEキーワードは、「Go Brave. No Fear. No Regrets(世界を変えるのは、大胆で勇気ある挑戦)」です。なぜ、これを選んだのかについては、このあと続ける話を聞いていただければと思います。


飯野:このプロジェクトは、Searchセンターを発足したことが全ての始まりです。2020年の3月1日に発足して、まだ4カ月ぐらいしか経っていない、生まれたての組織です。
 
実は、LINE Searchというのは物凄く大きなプロジェクトで、たくさんのLINERが関わっているプロジェクトです。LINEだけではなく、検索エンジンは韓国のNAVERが作っていますし、とにかくたくさんのチームやスタッフと関わり合いながら進めていくグローバルプロジェクトですので、どうやって同じ方向を見て進めていくのかはスタート当初の一番の悩みでした。
 
悩みとしてはもう1つ、検索回数を当時の3倍にまで増加させるという高い目標が掲げられてスタートを切ったことです。3月というと、お気づきだと思いますが世の中は新型コロナウイルス感染拡大の真っ只中です。対面でお互い顔を合わせながらのディスカッションや細かいコミュニケーションが全くできない状況になってしまいました。千葉さんは、特に海外や多拠点メンバーとのやりとりが多いと思いますけど、実際どうでしたか?
 
千葉:プロジェクトを進めるには、まず対面で話をした方が絶対早いだろうということも、それができなくて調整が凄く大変だったことを覚えています。
 
飯野:そんな中で、どうして4カ月で検索数を3倍にできたのかは、大きく分けて3つの取り組みがあります。
 
1つ目は、とにかく連携を深めたことです。
とにかくLINEやオンライン会議システムをフル活用して、コミュニケーションの回数や頻度を高めたことに加え、言語の壁も乗り越えるために専任の通訳担当者を採用しました。
 
2つ目は、ユーザーに向けて、とにかく検索を使うきっかけを作ろうということで、検索する接点を増やしました。ここは主に、検索を使う頻度の高いLINE NEWSユーザーに対しての取り組みが多かったです。
 
末弘:日々の出来事に合わせて、その出来事をより知りたい場合には、「こういう検索ワードで検索してみませんか?」といった、サジェスト編集を行っていました。


検索窓には、ユーザーが関心を持つようなニュース性のあるキーワードを表示。
 
飯野:ゴールデンウィークあたりから運用をかなり強化しまして。この強化に合わせて、どんどんクエリも増えていきました。それ以外にもLINE NEWSの記事本文にリンクを貼ったり、スマートチャネルで検索を使ったことのあるユーザーに対して再訪を促すようなプッシュを行ったりもして、少しずつユーザーを増やしていきました。
 
千葉:最後の1つは、検索サービスのベースとなる検索結果の改善です。その時々によく検索されるワードやジャンルに合わせて検索結果を充実させていくということを日々、行っています。急上昇したクエリの検索結果をすぐに見て、どうしてそのクエリが急上昇したかの意図をネットサーフィンして探し、その回答を私たちが最適化する即時対応を繰り返し行っていました。
 
飯野:そのほか、検索結果のカテゴリーを私たちは「コレクション」と呼んでいるんですが、このコレクションの種類を増やすということもしています。


ユーザーが求めるデータが出るよう改善を積み重ねている検索結果画面。
 
例えばコロナ禍で外出が難しい状況なので、デリバリーの検索結果を充実させるなど、そのタイミングでのニーズに合わせて検索結果が出るように心がけています。これらの積み重ねがあって検索数3倍増加を達成することができました。



 プロジェクトに関わっているメンバーで撮影した記念写真。これでもまだ一部のメンバーだけだとか。
 
飯野:これらを通じて、私たちから伝えたいことは「チャレンジをすると始まる」ということです。何もないところからは、何も始まらないので、これからもLINERみんなでチャレンジしていきたいですよね。

LINEらしいやり方、考え方である「LINE STYLE」を交えながら、今回は2つのプロジェクトをご紹介しました。今後も「WOW FRIDAY」のイベントレポートを通して、LINEの中のWOWなプロジェクトをお伝えしていきます!