LINE株式会社では LINEビジネスコネクトをはじめとしたアライアンス業務担当の採用に注力しております。今回は上級執行役員 法人ビジネス担当である田端に、LINEでのビジネスアライアンス業務がどういったものであるか聞いてみました。

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――まずは、簡単に経歴から教えていただけますか?
前職ではコンデナスト・デジタルで「VOGUE」「GQ Japan」「WIRED」などの媒体をデジタル化し収益化していく部門を統括するカントリーマネージャーをしていました。私は「時間の針を進める側とそのまま進まないでいて欲しい既得権者の側」があるとしたら完全に前者、針を進める側の人間だと思っているんですが、もっと時間の針を進めたくてLINEで働いています。

――現在の田端さんの担当されている領域はどのようなものでしょうか?
B to B という、一般個人からの課金ではなくて、企業からお金をもらう仕事の全般を担当しています。単純に「企業からお金をもらう」とはいっても、広告だったりシステム利用料だったりと広い意味での法人のビジネスに関わっています。現在の肩書は「上級執行役員 法人ビジネス担当」ですが、従来の企業向けの広告営業はもちろんのこと、新しいビジネスを作るといったこともやっています。

LINEは現在、様々なサービスを提供していてプラットフォーマーという面もあります。ITには「フレネミー」という言葉があって、例えばスマートフォンでいうとAppleとGoogleは競合だけどiPhoneのおかげでGoogleの検索クエリー数が大きく増えたり、iPhoneのデフォルトのホーム画面にYoutubeのボタンがあるお陰もあってYoutubeの視聴時間も増えるみたいな、そういう「右手で握手しながら左手で殴り合う」みたいな状況ってあるんですね。フレンド+エネミーでフレネミーといいます。

プラットフォーマーとしての色々な振れ幅があるなかで、LINEが法人ビジネスという領域で展開したいのは「ある意味では、LINEと競合するかもしれないクライアントさんまで含めて、うまくLINEを使ってもらう」ということですね。我々も一緒にリスクもリターンもお客様と一緒に、取りながらおこなう商売です。LINEは胴元ですから、ある意味では、儲けは薄くてもいいという割り切りもあります。

例えば広告営業の場合、広告主の言われたとおり、そのまま企画を進めるというようにはなってないんですよ。そういうある種の「気構え」は強くあるつもりで、広告主も含め、LINE上のサービスを一緒に作るパートナーという目線でもやっています。「お金払ってるんだから好きにやらせてよ」と言われることもあるんですが、スタンプのデザイン1つ取ってみても「キャラクターがもっと商品を持ってアピールしてるスタンプにしたい」という要望も「そんなスタンプ使われませんよ。使われなければ結果的に、ブランド認知の効果も増えないですよね」という切り返しをしていきます。広告枠を売る、買うという関係ではなく、一緒に世界観を作ったり、LINEの中でのブランディングをしていきましょうというスタンスです。


――様々な仕事があると思いますが、実際にビジネスアライアンス担当がやっているのはどんなことでしょうか。また、それはどのようなことが求められる仕事でしょうか。
既存の広告営業もありますし、LINEをマーケティングのプラットフォームとしてどう使ってもらうかということもありますし、マーケティングのみに留まらず色々なサービスのタッチポイントとして使ってもらうというところもあります。求められているのは、LINEのサービス、メディアとしての特性をよくわかっているのは大前提で、そのうえで「お客様側のビジネスをわかっていること」、さらに、LINEを使ってくれている「ユーザーの心理」の理解も必要になります。そういった3つの要素をどのようにバランスさせながら、サービスやビジネスとして、成立させるかという、総合的なビジネスセンスが問われますね。

アライアンスという広い取り組みでいうと全てがそうなります。交渉するにも、協力するにも、パートナー候補である提携先のビジネスモデルや企業としての成り立ち、競争優位性をよく理解していないと全く話にならないですよね。単なる「トラフィックが多いところに店を構えられるんだから、いいでしょ」という意味で「スマホ時代のでっかいポータルサイトが出来ました」ということをアピールするだけでは、レベルが低い。そうではなく、LINEならではのリアルタイム性とかプッシュ性とかスタンプを使ったエモーショナルな部分とか、そういう付加価値をのせていくことで、これまでになかったようなサービスを外部企業とのコラボで生み出していく、ということが、担当者のセンス次第で十分に出来る環境だと思います。


――現在、どこまで裁量といいますか、どこまで任されているんでしょうか?
ケースバイケースでその人の経験値次第ですけど、チームとして大枠のフレームはあっても個別の話はかなり自由ですよ。中途採用が多くて、過去に何らかのアライアンス業務の経験を持っている人ばかりなので3〜5年程度の法人営業の経験があれば、入社して1〜2ヶ月もすれば「どうぞどうぞ」というかんじで裁量権を与えます。つまり、ピンで交渉窓口になって案件を進めてもらいます。


――営業経験といっても様々な商材がありますが、特にこのジャンルの方に来てほしいというのはあるんでしょうか?
例えば、LINEビジネスコネクトでいうと、SIerとか大手の印刷会社のデジタルセクションにいて、営業をしていた方とかすごくいいと思います。CRMのコンサルティングとかデータベース解析をやっていたような方とか、シンクタンクでマーケティング関連のリサーチ業務をやっていた方などもいいと思います。

他には、今までこちらから提案していたパートナーや顧客側の企業で働いている方も是非来ていただきたいですね。コンビニ・銀行・レコード会社・消費財を扱うメーカーのEC部門などでネット系のビジネス開発をしていた人達などもご活躍いただけると思っています。



――ビジネスアライアンス業務というとイメージするのが難しいんですが、実際にどのくらいのスキルがあって開発のことがどのくらいわかっている必要があるのかというのを教えてください
単純にいうと、開発は作る、営業は個別のプロダクト売る、その間を取り持って、自社と社外の企業の個別の商品同士や顧客セグメントを組み合わせたり、重ねたりしながら、新しいサービスやビジネス作っていくのがアライアンスという仕事だとおもいます。求人広告スペックという意味で、いわゆるNice to haveな条件をリスト化していくと、驚くぐらい物凄く高スペックな人材になってしまうんですよね(笑)。ちょっとあげると

・それなりに技術的なこともわかってないといけない
・カンジがよくて人当たりがよく、初対面でも好かれたり、信頼されないといけない
・かといってただのいい奴じゃなくて自社の言うべきこともビシッと言わないといけない
・なおかつユーザー目線のこともわかって、実際に成功するサービス提案が出来る

となっていくんですよ(笑) 偉い人同士を引きあわせて、企業同士が盛り上がって、ビジネスマンの論理ではいくら良くても「それユーザーに受け入れられないでしょ?」というダサい提携をしてもしょうがないですから。まあ、滅茶苦茶面白い仕事なんですけどね。

さらには世界に向けた商材を扱うメーカーさんとのビジネスであれば、グローバルで「LINEとなにができるか」という提案をするなど、ビジネスをしていくエリアが日本にとどまらない仕事です。CRMのパッケージを展開しているベンダーさんとは、プロダクトの中にLINEを入れてもらうことで企業側はゼロから作らなくても"プロダクトからLINEでメッセージを打てる"みたいなことも進めていたりもします。もちろん、英文契約書を読んだりとか、ビジネス英語での交渉も出来ればいいしと、求めるスペックは止め処なく上がっていきますね。

スペック以外でいうと、特定の業界知識がある人も歓迎したいです。一緒に何かしようとなった時に具体案を提示して「これはこうでないとダメです」と言われた場合、それがその会社固有の理由で言ってるのか、業界全体でスタンダートに基づいて言ってるのか、わからない部分があるわけですよ。それって、もしかして違う会社にだったらOKだったりするんじゃないの?って思ったりもするので、特定の業界知識に深く特化したエキスパートがいるというのはいいですね。


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先日開催された LINE GLOBAL MARKETING CONFERENCE にて


――LINEビジネスコネクトをはじめ、LINEで法人向け業務をする魅力、やりがいとはどういった部分でしょうか
私自身は基本的に世の中が進んでいったり変わっていったりするのはいい事だと思っているんですけど、当たり前ですがLINE単体で世の中が変えられる、という範囲は多くないんですよ。LINEはあくまでパーツになって、映画館なら映画館、コンビニならコンビニ、ECならEC、各業界の素敵な会社がそれぞれありますよね。そういった素敵な会社に、うまくLINEをテコに使って頂くことで、その業界とか企業自体を伸ばしていくお手伝いも出来るんじゃないかと思ってます。

LINEは法人向けビジネスとしてはまだまだで、1合目か2合目くらいだと思います。スマートフォンの広告でいうとスタンプはおかげさまで9月末まで満稿という状態で、世の中的にも広く受け入れられつつあると思っています。これまで、クリック単価がいくら、インプレッションでいくらという発想しかなかったところに、「スタンプ」というこれまでに全くなかった、別のネット広告モデルを作れたんじゃないかと思います。

例えば、スタンプは、タップしても企業側のウェブサイトにリンクされたりするわけでもないので、初期には「この広告スタンプを買う意味が全く分からない」というようなネガティブな声も少なくなかったです。でも、その後、例えばコアラのマーチのスタンプは600万人がダウンロードしてくださって、その配布期間にロッテさんがLINE以外に広告を打っていない状態で、コアラのマーチの売上が前年比でコンビニ販売が16%増、スーパーだと40%増ということがありました。「スタンプが使われると棚の商品が動く」という相関関係が出来たとも言えるかと思います。そして、こういう事例が発生すると、オセロゲームのように、それまでにネガティブなことを言っていた人たちも、意見を変えてくれます。

私としては、そのような瞬間こそが、「してやったり」いわゆるドヤ顔をしたい瞬間なんですよね。コアラのマーチ以外にも、色々な成功事例が出つつあります。やはり、私は、自分自身が業界のコンセンサスを上書きしていくことに、一番やりがいを感じるんですよね。皆が当たり前に思ってることを普通にこなすだけでは、全く面白くない。自分が仕事をした、という爪あとを世の中に残したい。それには、いま、皆が思っているコンセンサスを書き換えて上書きするのが、一番いいわけです。そして上書きしていく時のレバレッジとしては、LINEというのは最高のキャンバスであり環境であり、絵筆であると日々思ってます。


――今、LINEに入社する魅力とはなんでしょうか
ビジネスアライアンスという領域はまだまだ手付かずで、ただただ白地の荒野が広がってるみたいな状態です。入った人次第で、そりゃもういくらでもやる余地はありますよ。まず日本の中でもそうだし、地図として海外まで入れるとまったく手付かず。定量的なことでいうと、1ユーザーあたりの課金を除いた広告ARPUは日本と北米のFacebookと比較すると1/10くらいで、世界全体でいうともっと差が開いている状況なんです。自分をマネタイズ屋だと思う人にとっては、こんなフロンティアはないですよ。

ニールセンが出しているデータだと、総利用時間はPCを含めてもYahoo!さんを超えてLINEは1位なんですよね。だけど、総利用時間と同じだけの広告シェアとかビジネス的なシェアが獲得できているかというとまだ全然きてない。それだけ伸びしろが滅茶苦茶あって、じゃあ何が足りないかというと、人材なんですよね。

1つ、営業に関わるといった面で魅力があるのは、いくら素晴らしい話、面白そうな話でも、知名度の足りないベンチャー企業だと、どうしても門前払いをくらう場合も多いと思います。でも、LINEで仕事をすれば、「LINEなら話を聞いてやろうか」と、少なくとも会って話を聞いてもらえるチャンスは大いにあります。認知度が足りないということには苦労しないので、ビジネスとしての発射台の角度が高いと言いますか、自分のやりたいことをやるための最初のハードルが低いと思いますよ。


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――ではビジネスとしてやろうと思った時に、どこまで開発や企画に口を出せるものなんでしょうか。ユーザーが嫌がってもマネタイズ出来るところは沢山あったと思いますが
そもそもユーザーが嫌がることしていたら長持ちしないですよね。だから「ユーザーが嫌がることはしない」というのをビジネスをする側が、制約条件として感じて「うるさいこと言ってるな」としか捉えられない人は、LINEじゃなくてもその感性はよくないですよ。

もちろんバランスってものがあるんですけど、社内で議論する時にビジネス側が「金さえ儲かればいいんだ」という態度を取っていたら絶対に、巡り巡って持続的に拡大するビジネスにならないですよ。だって、いまどき「無料メディアで無料ツールなんだから、ダサい広告を見てください。ほんの5秒だけなんで・・」なんて、有り得ないじゃないですか。タダだから、しょうがないよね、という感覚はユーザー側にはないんですよね。



――では最後に、田端さんにとって「アライアンス」とは何でしょうか?
近江商人の「三方良し」ってあるじゃないですか。「売り手良し」「買い手良し」「世間良し」。我々でいうと、アライアンス先のパートナー企業にとってもOKで、自社であるLINEにとってもOK。なおかつ一般ユーザーにとってもOK、というような折り合いをつけ、落とし所をクリエイティブ探る仕事だと思っています。私の信念ですが、アライアンスでの交渉は、相手にどうやって詰め腹を切らせるように追い込むか?というようなゼロサムゲームでは絶対にないんです。そういう発想でやっていては絶対にダメです。

いま既にあるものを売ってくる営業とは違って、ユーザーとパートナーのことを考えてサービスやビジネスを作る、誰もがWin-Winになる仕事。それがアライアンスという事ですよね。非エンジニアの仕事としては最高峰だと思います。

でも、そんな「ユーザーも会社もみんな幸せなアライアンス」ってほとんどないんですよね(笑) だいたいのアライアンスが失敗するという事実もあるじゃないですか。華々しく発表したけど3年後にはいつの間にか解消してたりとか、本当に成功するアライアンスってそんなにないですよね。そうはいっても、華々しく発表できてるだけまだマシという面もあって、その10倍くらい「話はしたけどポシャった案件」とかあるし、100あって10くらい発表にこぎつけて、さらに成功といえるものは1か2くらいですよね。何をもって成功するかというのも難しいですが。

アライアンスの中でも、お互いが開きあってる同士というのと、お互いが閉じ合ってるエクスクルーシブな結婚みたいな1 to 1なアライアンスだと随分違いますよね。私が担当してる法人向けビジネスだと、基本的な前提としてエクスクルーシブなアライアンスってかなり少ないケースなので、とにかく沢山走らせることが出来るという利点もある。飽きっぽい私にはぴったりかな?(笑)エクスクルーシブだと「そもそもこの相手でいいんだっけ」とかマリッジブルーみたいになることもありますし、「誰から声かけるべきだっけ」となる場合もありますしね。アライアンス実行後も夫婦ゲンカのような状態になることも多々ありますからね。

LINEの状況でいうと、持ち込まれる案件がとても多いから「高い山の展望台の上から、スマートフォン・ビジネス全体がよく見える」という状況にいる気はしますね。外から見てると「お金に興味ありません」みたいな聖人君子っぽく見えているかも知れませんけど、LINEも営利企業だからもちろんビジネスを大きくしていくことは大事です。ただ、「金さえ儲かれば」とは思っていなくて、収益をあげることだけに執心するのはやっぱりダサいんです。ダサいし、結局、長い目でみて、それでは儲からない。世の中って、面白くてプライスレスなものほど価値が高いんですよ。だから「カネになるなら、何でも売りまっせ」というのはやりません。

金さえ儲かればいいという態度のビジネスマンはそもそもダメですよね。インターネットとかソーシャルとか、サービス哲学上、駄目なものは駄目なんだというのはあって、それ自体を議論してもしょうがない。そのうえでどうやって売上や利益を最大化していくのか、制約をどのようにクリエイティブに受け入れるっていうことでしょうね。俳句に5・7・5の制約があるみたいなものですよ。そのような「オカネでは売らない何か」というような制約条件があるからこそ、そこにプライスレスな価値が出てくる、みたいな逆説の面白みを感じられないと駄目でしょうね。そこに「なるほど」と思ってもらえないと、LINEという会社に入っても違和感が残ってしまうんじゃないかと思います。


――ありがとうございました

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