LINE株式会社ではLINEゲームの開発を行うための新組織「Semi Studio」を新設いたしました。今回は設立背景や現在のチーム構成、さらに今後どういったことを目指していくのか聞いてみました。

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――まずは皆さんの経歴、Semi Studioへ入ったきっかけ、現在の担当について教えてください
K.Seungjae
前職では、PCオンラインゲームやスマートフォンゲームのTechnical PMとしてずっと働いてきて、主にスマートフォンゲームの取りまとめ役をつとめていました。現在は進行中であるプロジェクトのディレクターを兼ねて、Semi Studioの取りまとめ役をしています。

I.Kenji
前職では、大手プラットフォームで複数の内製タイトルをディレクターやプランナーとして3年ほどやっていました。ディレクターやプランナーという職種は、企画、素材管理、スケジュール管理など幅広く運営に関わる職種です。北米市場の展開に向けローカライズの責任者もやっていました。
LINEへ入社したきっかけは、プラットフォームとしてユーザー数が多いということと、LINEはアジアで強いと言われていますが、これからさらにグローバルへ向けてゲーム開発を進めていこうという動きがあり是非そこをやりたいと思ったからです。現在は進行中の新規タイトルのプランナーを担当しています。

N.Meudec
フランスから日本に来たのが2007年で、以前は車のデザインなどをしていました。子供の時から「いつかゲームを作りたい」という夢を持っていたので、iPhoneが日本で出た時に自ら勉強し2010年に自分の会社を作りました。当時はゲームとはあまり関係ないマーケティングに関連するサイト制作やスマホアプリなどのコンサルティングや開発をしていたのですが、やはりゲームに関係したことをやらないといけないと感じてゲームの会社を色々探し2014年の6月にLINEへ入社しました。
現在は主にUnityやC+などを使ってクライアントサイドのゲーム開発エンジニアをしていてゲームロジックやAIの開発などをしています。


――Semi Studio 設立の背景と、チームのミッションについて教えてください
K.Seungjae
組織として形になったのは最近で、設立は2014年の9月です。
今までもLINE内部で自社開発のLINEゲームを作ってきていたのですが、LINEメッセージアプリもだんだんグローバル化されている中で、LINEゲームもよりグローバルをターゲットにしています。そのため、もっと多くの優秀な方々に今までなかったよりグローバル向けの面白いゲーム制作に参加して頂きたいと考えています。それが、別途新たに組織を作ることになった理由です。


――LINEが過去に作ったタイトルはどんなものがありますか?また、LINEゲームの中で好きなゲームを教えてください
K.Seungjae
今までに作ったのは3タイトルあります。LINEバブル、LINEレンジャー、LINEステージ、ですね。
個人的にLINEゲームのなかで好きなのは、タワーディフェンス系のタイトルで好評をいただいている LINEレンジャーをよくやっています。攻守のメリハリ、倒せそうで倒せない、でもちょっと戦略を持ってやるとギリギリで倒すことが出来たりする、微妙なバランス感覚でハマってしまいました(笑)



I.Kenji
私もLINEレンジャーをよくやっています。入社前に勉強しておこうというのもあったのですが、いざプレイしてみると「よく出来てるな」と思いました。元々、横スクロールのゲームが苦手だったのですがそれでも飽きずにプレイ出来るし、何しろまたやりたくなる。ゲームではバランスが重要な要素ですが、適当にやっても勝てるし、それだけだと勝てない時も出てきて、ゲームに深さがあるのがいいなと思いました。

N.Meudec
スマホで簡単にプレイ出来るクッキーランを奥さんと一緒にプレイすることが多いですね。奥さんは複雑なゲームは苦手だから、ポコパンとかも一緒にやったりしますよ。

――皆さんがゲームを作るうえで大切にしていることはありますか?
K.Seungjae
ゲームは面白くないといけないという大前提がありますが、そこにこだわっています。スケジュール優先になりがちですが、社内で面白くないと判断したゲームは公開しても良い評価がもらえないのは当然なので、面白くなるまでリリースしないことをルールとしています。

特に面白さに影響を与えるゲームバランスの側面を大切にしていて、より多くのユーザーの皆さんに楽しんでもらえるバランスを作ることを重要なポイントとしています。

I.Kenji
ゲームはエンターテイメントの1つですから、面白くないといけないというのは大前提にあります。世の中、どんな職種でも言えると思いますが「100%これが面白いからこれを出したら絶対流行る」と確証できる人はいないですよね。

ただ、ヒットするための確度を上げることは出来ます。そのためにプランナーとして調査をしたり、面白さの定義をしたり、定量的な分析をしたり、感覚値としても面白さのバランスを考えたりして、その企画の面白さをメンバーに伝えるということが大切だと思っています。実際にやると難しい作業ですが、プランナーやディレクターという職種では避けて通れません。面白さなど感覚的なことに関しての理由付けは難しいですが、必須のスキルだと思っています。

N.Meudec
もちろん面白さが大事ですが、何回も同じゲームをやったらつまらなくなってきますよね。ゲームを続けるためには新しい要素もどんどん必要になるし、そういうゲームを私自信が見たいからイマジネーションが大事だと思っています。

また、開発をしているうえではコミュニケーションも大事だと思います。今のチームは色々な国のメンバーがいてコミュニケーションが難しいけど、グローバルをターゲットにしているので必要なことなので皆が努力しています。私は日本語がまだまだだから、ジェスチャーを含めてコミュニケーションをしていますがお互いにうまくコミュニケーションが取れていると思います。


――もしこれからSemi Studioで一緒に働くとして、どんな人がゲーム制作に向いていると思いますか?
I.Kenji
プランナーという職種でいうと、企画の立て方が上手な人がいいと思います。細かくいうと、企画を作っている時に煮詰まってしまうと色々なところからアイデアを引っ張ってこないとダメな時があるんですよね。そういった時に「自分が体験したもの」しか引き出しがないとツライので、ゲームでもいいし旅行でもいいし、なにか個人的な趣味でもいいんですが、体験したこと以外へのアンテナが高いほうがいいと思います。とはいえ、自分が興味があることにはとことん掘り下げてやれる事も大事なので、広く浅くだけではなく深く掘り下げることも出来るという側面も必要です。

また、プランナーは企画に対しての説明責任を負う立場ですので「とにかく面白い、俺が面白ければそれでいいんだ」という姿勢はナンセンスです。各ステークホルダー、チームの人達にもわかってもらえるまでやる、企画の面白さを定量的に数値化する努力ができる、そういう人と一緒に働きたいです。

必要なスキルという意味でいうと、今後さらに色々な国籍、様々なワークスタイルの人と一緒に仕事をする機会が増えてくるので、チームの人たちのいいところを見抜けたり、協業するために円滑に進められるコミュニケーション能力は必須だと思います。

例えば同じタスクがあったとしても、その人の気持ちの状況でプラスαのアウトプットをしてくれたりする場合がありますよね。それぞれが個人でやれる限界以上のものを出さないといけない状況になることもあるので、チームの雰囲気を作ることが出来るというのもとても大切な能力だと思います。

K.Seungjae
最も重要なのは「おもしろいゲームをLINEゲームユーザーに提供したい」という情熱です。その情熱をもとにそれぞれが持つスキルを100%活用できる方が一番向いていると考えています。この情熱がないと、面白いゲームを作ろうとしないですし、決められた時間内にゲームを作るのが目的になってしまいますから。

一緒に働きたいという意味でいうと、現在 Semi Studioには アートディレクターの採用を進めていますが、ゲーム全体の全てを検収できる能力を必要としています。ゲームのコンセプトからアートコンセプトを決めたり、コンセプトに沿ってデザイナーが制作したキャラクター、背景、UIなど、ゲーム全体を見て「このゲームに向いてるか」というチェックをしたり、協力会社と一緒にデザインを作る時などに的確に指示が出せて、フィードバックをして、求めているコンセプトのものを作り上げられる人ですね。興味がある方は是非ご連絡を。


N.Meudec
私はエンジニアで、以前は1人でゲームを作っていたので全て自分でコントロールして進めていましたが、今はプランナーとデザイナーと一緒に開発をしています。チームメンバーそれぞれの考え方を理解して進めていきますが、自分の頭の中では半分が日本的、もう半分はフランス的に捉えて考えます。開発をする時は C++ とUnityとで半分ずつ考えています。

アイデアがあればゲーム自体は出来るので1人でも作れます。私の夢はゲームを作ることで、それを叶えることが出来ましたが1人で作ったゲームは出来上がってみると規模が小さくてイメージしてたのと違いました。1人で出来ることには限界があるからです。チームで作ればより大きなものを作ることが出来るので、チームワークがとても重要だと思います。

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――はたらく環境としてよいと思うところ、他社とは違うと思うところを教えてください。
K.Seungjae
1つのプロジェクトに10名くらいの規模で現在は進めています。開発チームの規模が小さいぶん、違う職種でもコミュニケーションがしやすく、意思決定もスタジオ内部でほとんど行われているので、誰かの決定をあまり待つことなく、早いスピードでプロジェクトが進められるところがはたらく環境としてはよいところだと思いますね。

LINEゲームの制作という観点でいうと、LINEゲームのオープン前から制作・運営に携わってきたメンバーを中心にLINEゲームを企画・開発しているため、様々なメカニズムを熟知した上でLINEプラットフォームを100%活用したゲームを制作することができます。また、LINEの自社開発であるため、場合によってはLINEの本体やLINEゲームプラットフォームの担当者たちに協力してもらい、必要に応じて柔軟にゲームを開発できるところが他社とは違うと言えますね。


I.Kenji
意思決定が早いというのも特長としてありますが、圧倒的なユーザーのアセットがあるのはやはり凄いことだと思います。ユーザーの母数が少ないと一人あたりの単価を上げる方向に行きがちなのですが、それはそもそもゲームの面白さとは関係がない要素になっていってしまうんですよね。LINEゲームはそういった面で余裕があるので既存ユーザーに対して長く楽しんでもらえるようなゲームを作れますし「楽しいゲームを作れば遊んでもらえる」というコンシューマー時代の作り方を追求していくことも出来るので、はたらくうえでよい環境だと感じています。

現在の Semi Studio は日本国籍と外国籍が半々で、これから入社予定の方々は欧米など全て外国籍のメンバーです。国籍が多様なチームで仕事をするのは個人的な夢でしたし、キャリアパスとしても自分の人生としても外せないと思っていたので、今もこれからも楽しみです。


N.Meudec
他の日本の会社で働いた時は、部長と社長が決めることが多くて発言しても企画などで反映されることはありませんでしたが、Semi Studioでは発言が無駄にならないしとても働きやすいと感じています。気分が乗らなければカフェで仕事していてもいいし、色々なところが自由な環境だと思います。ゲームを作っていくうえでも、例えばゲームロジックだったり何か問題があれば「それは面白くないと思う」と、考え方の違いを伝えればコミュニケーションをとって解決していくという方法で進めていきますし。

面白いゲームを作りたいなら楽しみながら仕事をしたほうがいいですよね。頭ではわかっているけど実践できる環境はあまり無いと思うけど、プランニングポーカーしながら会議をしたりするし、紙があれば自然とゲームがはじまってしまう、そんな環境です。

自分が笑えるようなものを作れたら、ユーザーも楽しんでくれると思う。こんな雰囲気で働けるのは初めてです。喧嘩とかしないし、考え方に違いはあるけど感情的になって怒ったりは誰もしません。新たな市場に向けて作るゲームは新しい価値観も必要になるということ、グローバルな考え方が必要だとみんな理解してくれるているから自然とお互いのアイデアも多く出るような環境になっていると思います。


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どうやったらもっと面白くなるか、お互いに意見を言い合いながら開発が進む


――今回、若手のゲーム開発者向けの「GAME BOOT CAMP」というイベントを主催されますが、皆さんはどのように関わる予定なのですか?
K.Seungjae
私はイベント全体のスケジューリングや、チューターの選定、評価時の項目設定、応募された方々のチーム構成などに関わっています。

I.Kenji
私はチューターとしては唯一のプランナーという職種での参加をする予定です。色々なアイデアがある中で一泊二日でゲームを作るための案内役ですね。

プランナーとして、企画の立て方やゲームを作るうえでコンセプトを決める部分、どんなユーザー体験を与えたいのか、といった部分についてアドバイス出来たらと思っています。エンターテイメントを作る側として楽しんでやってもらいたいので、短い期間ですが少しでも伝えられたらなと思っています。


――最後にこれからどのようなことをやっていくのか、やっていきたいのかを教えてください。
K.Seungjae
日本を拠点としているため、LINEゲームのユーザーも日本を中心に広がっていますが、Semi Studioでは今までない、グローバルで認められるLINEゲームを作って行きたいです。


I.Kenji
個人的には新しい試みを沢山していきたいと思っています。自席にOculusがあったり新たなデバイスも出てきているなかで、色々なアイデアを出したり、新たな技術や新たなユーザー体験をどう作り出し行けるか、そういったチャレンジしていきたいですし、このチームなら出来ると思っています。

また、多様に国籍が混合しているチームでの成功体験を作りたいというのもあります。まずは1つゲームを作り、それが数字として結果が出て、まずは一区切りかなと考えています。

N.Meudec
プライオリティとしてはゲームを完成させリリースしたいです。それがまず第一歩。ゲームを自分の手で作るということは2年くらい待っていた事だし、いま作っているゲームは最初から関わってるものだからまずはリリースしたいです。

その後は、ゲームのアイデアは沢山あるので自分が考えたゲームを出したいとも思っています。ゲーム開発は経験が大事だからとにかく作り続けていきたいです。


――ありがとうございました


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