2018年、LINEは金融事業に力を入れるため、LINE Financialを設立して、さまざまなプロジェクトを立ち上げようとしています。LINEが目指す「お金の未来」って、実際どんなイメージなのでしょうか。

金融事業の最前線ではたらくメンバーに、話を聞いていきたいと思います。

初回は、仮想通貨事業に携わる、神谷健さんとサラ・マクナリさんです。いまのチームの雰囲気や、一緒にはたらきたい人物像も語ってくれました。

IMG_2064_dss
仮想通貨事業を担当するサラさん(左)と神谷さん。社内のカフェで撮らせてもらいました。

神谷 健 (かみや けん)
LINE 仮想通貨事業部に所属。2005年にオンラインコンテンツのリサーチ会社を設立。受託調査などを行っていたが、2007年に解散し、NHN Japan(現LINE)入社。経営企画室で市場調査や経営管理などを担当。 2013年、NHN Japan分社化にともない、NHN PlayArtに移籍。マンガサービスの事業戦略担当として事業収益化に寄与した。2016年にLINEに再入社し、現在は仮想通貨事業の立ち上げメンバーとして従事している。趣味はゲームと投資。

サラ・マクナリ
LINE 仮想通貨事業部に所属。2000年にカナダUBC大学物理学部卒業。約1年間の研究所勤務を経て来日。語学学校などで英会話を教えながら日本語を学ぶうちに、ビジネスと日本企業に興味を持つようになる。東京・恵比寿でレストラン立ち上げ後、2009年から株式会社ジークレストで海外向けソーシャルゲームのカスタマーサポートなどを担当。株式会社gumiの海外事業部を経て、2013年にLINE入社。ゲーム事業部で、カジュアルゲームのプロデューサーとチームリーダーを務める。2018年4月から仮想通貨事業部に異動。趣味は2泊旅行、スキー、数学。


「血流」のような存在に


――LINEの仮想通貨事業って、具体的に何をしようとしているんですか。

サラ:私たちは、仮想通貨の取引所をつくろうとしています。ユーザーが仮想通貨を円に替えたり、円を仮想通貨に替えたりできるわけですね。それをLINEのアプリ上で手軽に行えるようになります(※)。

※日本国内での仮想通貨交換事業の展開については、2018年6月現在、金融庁に仮想通貨交換業者登録を申請中です。

神谷:LINEは日本国内で7300万人という、ものすごい数の月間アクティブユーザーがいます。今はユーザー間のコミュニケーションツールとして主に使われていますが、ゆくゆくはそこにお金の機能を乗せていきたいんですよ。経済社会を人間の体にたとえるなら、我々は隅々にまで張り巡らされた血管を流れる血、「血流」のような存在になりたいなと。

IMG_2020

――LINEが提供する仮想通貨サービスの強みってなんでしょうか。

神谷:現状、いろんな企業が仮想通貨取引所をつくっていますが、手数料の高さや手続きの複雑さがネックになっていて、初心者が始めるには難しすぎるんですよ。

サラ:私自身、仮想通貨にずっと興味があったので始めようとしたけど、難しくてどう買ったらいいかわからなかった(笑)。他社のアプリでトライしてみたんですが、UIも複雑で……。

――でも、各社ともわりと「簡単」「手軽」をうたっていませんか?

サラ:投資の経験がある人ならまだしも、未経験者にはかなり複雑ですよ。私がここ数年担当していたカジュアルゲームの観点では、UI的にありえないほど複雑なサービスが多いです。

神谷:いかに難しいかは数字にも現れています。調査によると、既存の仮想通貨取引のアプリをダウンロードした人のうち、初取引までできる人は多くてたった20%しかいません。少ないと10%とか15%です。

――そんなに少ないんですか! 80%の人が迷子に……?

神谷:UI以前に、登録作業が複雑で面倒なんですよ。本人確認のためにパスポートや身分証明書をアップするとか、口座を持っている銀行に用紙を提出するとか、本人確認のための郵便物を受け取るとか。実際に取引をするとなると入金手数料も必要ですし。その途中で、80%の人が諦めてしまう(笑)。

サラ:私の場合、ためしに5つのサービスの本人確認を同時にやろうとしたら、スムーズに1発で完了できたのは1つだけ。残り4つはいろんな理由で却下されて、別途、手続きをしてくださいというメールが届きました。5分の4が却下ですから、成功率はちょうど20%ですね(笑)。

一般的じゃないものを一般的にする


神谷:次の関門がUIです。ちょっとこれを見てください(と言ってスマホを取り出し、某仮想通貨取引アプリの画面を見せる)。これは私が実際に口座開設している仮想通貨取引アプリの画面ですが、パッと見て意味がわかりますか?

IMG_2139_ss
固まる編集担当者……。 ※スマホ画面は、ぼかし加工しています。

――どこをタップしたら買えるのか、よくわかりません……。知らない用語も多いですし、表示されている数字が何を指しているのかも不明で……。そもそも文字が小さくて読みづらいですね。間違えて、私の口座に送金しちゃったらすみません。

神谷:これが現状なんですよ(笑)。たしかに金融取引では、専門知識や専門用語が必要かもしれません。でも、ユーザーの目に触れるインターフェイスにそのまま表示する必要なんてない。要は安い時に買って、高い時に売りたいだけなのに。もう少しわかりやすいサービスもありますけど、それでもUIはまだまだ不親切です。

――LINEが提供する仮想通貨サービスでは、そういう不親切を徹底的に無くしていく。

神谷:はい。わかりやすさをとにかく追求します。

サラ:私たちが目指すUIは、初心者にとって一番わかりやすいものになるはずです。

神谷:舛田さん(LINE取締役CSMO)も言っていますが、LINEのミッションは「CLOSING THE DISTANCE」で、世の中でまだまだ一般的じゃないものと人々との距離を、私たちの力で縮めていくことなんですよね。

サラ:「投資なんてやったことない……」という人にも、「私でもできるかな」と思ってもらいたいんです。5000円とか1万円とか、少額でもいいから投資を経験することで、日本人にとってはあまりなじみのない「資産運用」について、考えを巡らせる人がひとりでも増えてほしい。

IMG_2056_s

神谷:仮想通貨事業のコンセプトは「LINEのユーザーすべてに仮想通貨を」ですから。そのためには、わかりやすさはもちろん、安い手数料も追求していきますよ。投資というものの裾野を広げたいんです。

グローバルでフラットなチーム


――おふたりとも以前はゲーム事業を担当していたそうですね。自ら志望して仮想通貨事業に参加された理由は?

サラ:私は前職も含めて10年くらいゲーム業界にいて、LINEでは4年ほどカジュアルゲームのプロデューサーとしてチームリーダーをしていました。この4年間で、LINEゲームは社会現象を起こすほどのサービスを次々と出していました。「誰でも簡単に楽しめて、かつ奥が深いコンテンツ」を徹底的に考えてきました。

でも、エンターテインメントの次に、もし機会があれば、生活に役立つ技術や社会を支えるインフラストラクチャー(社会基盤)にも携わりたいと思っていたんです。そんなときに、社内イベント(2018年の新年会)で金融の世界を変えようとしている、いまの仮想通貨事業のチームメンバーと話す機会があり、「とても興味がある」と伝えたら、チームに誘われました。やりたいことがあれば、別の業界でも社内転職できるのは、LINEっぽいのかもしれませんね。

神谷:私もゲーム事業には10数年携わっています。一時期、他社マンガアプリの事業戦略を担当していましたが、またゲームに戻ってきたのが2年前。ただ、戻ってきた後は、ゲームに対して以前ほど前のめりになれない自分に気づいてしまいまして。ゲームというものにこだわりが持てなくなってしまったんですよ。

そこで上司に相談したところ、新しくもらったテーマのひとつが「ブロックチェーン」(仮想通貨取引の中核をなす、分散台帳を実現する技術)でした。それでひたすらブロックチェーンの研究と事業検討をしていたら、どんどん魅せられていきまして。そうこうしているうちに、会社の方針として「金融」に舵を切ることになり、仮想通貨事業も検討するので参加してみないかと言われて、手を挙げたわけです。

――いまのチームについても教えてください。

神谷:仮想通貨は世界的な潮流なので、我々のチーム自体もグローバルですよ。事業部はいま9人体制(2018年6月現在)で、日本人は私ともうひとりだけ。あとはカナダ人、韓国人、アメリカ人です。コミュニケーションは英語ベースです。ただ、私は当初まったくしゃべれなかったので、必死に勉強しましたね(※)。

※英語、日本語など、社員の語学力アップを支援する語学講座制度もあります。

サラ:前の部署では、英語のネイティブスピーカーが約110人中ほぼ私だけでした。いまは英語が通じるチームなのでうれしいです(笑)。抜群に優秀なメンバーですので、ついていくのは大変ですが(笑)、金融や事業開発について知識を深めながら、いろいろと刺激が受けられるチームです。いままでで最高にやりがいのあるポジションだと思います。最近入社したメンバーも多いので、社歴のある私たちが他チームとの連携などはフォローしています。

IMG_1971_ss
国際色豊かな仮想通貨事業のメンバー。英語が苦手だった神谷さんがメンバーを笑わせていました。って書いてたら、英会話学校の広告っぽく見えてきました。

――チームの雰囲気はどんな感じですか。

神谷:私はけっこう社歴が長いんですが、LINEのなかでも、このチームは特にオープンだと思います。

サラ:かなりフラットな組織ですね。自分のやりたいことがあれば、手を挙げて「やります」と言えばやらせてくれます。あと、欧米のベンチャーのようなスピード感もあります。

神谷:私は以前、プロジェクト全体を横断的にサポートする業務に就いていたので、いろんなプロジェクトを見てきましたが、ここはまれに見るフラットさですよ。メンバーがお互いをリスペクトしあっているのもいいですね。

――新しく一緒にはたらく仲間には、どういう資質が求められますか。

サラ:今は立ち上げ段階で、毎日のように状況が変わりますから、柔軟性がとても大事だと思います。

神谷:この事業では、日本国内の事業者に限らず、世界中の事業者を相手に提携を結ぶこともあります。もちろん競合相手も国内外、グローバルも含まれますから、そういう場所に自ら飛び込んでいって価値をつくれる人が求められますね。当然、折衝は基本的に英語です。私自身、勉強中ではありますが……。

サラ:日本での常識が通用しない相手が、海外の会社にも国内の会社にもいますからね。ビジネスの進め方も従来のものとは違うので、そういった意味でも、柔軟性はすごく求められると思います。

神谷:あとは、我々のチームの多様性を受け入れられる人であってほしいですね。

サラ:英語に関しては、いますぐ話せなくても、この仕事をするために話せるようになりたいと思ってもらえるのであれば、大丈夫ですよ。


世の中の仕組みを変える仕事


――いまの仕事のやりがいってなんでしょう。

サラ:仮想通貨事業は、投資サービスですから、事業がうまくいけば会社も潤うし、ユーザーにも見返りがある。双方ともにハッピー、WIN-WINになれる。それが楽しいですね。

神谷:私は前職を辞めてLINEに来た時、役員と面談して「神谷さん、何やりたい?」って聞かれて、「世の中の仕組みを変える仕事がしたい」と答えたんです。年齢も年齢だったけど、ずっとそういうチャレンジがしたいと考えていて、どう実現すればいいかを2年間模索していました。

それがいま、世の中の仕組みを変えられるかもしれない仮想通貨事業に身を置けているというのはすごく幸せですし、それ自体がやりがいです。

IMG_2024

――ただ、日本ではまだまだ投資は富裕層のものという意識が根強いですし、お金に対してネガティブなイメージを持っている人も少なくありません。おふたりにとって、「お金」ってどんな存在ですか?

神谷:私自身、つい4、5年前までお金や投資についてはネガティブな考え方を持っていました。でも知れば知るほど、知っていて損はないし、知ったほうがいいと思うようになった。だから勉強を続けています。

サラ:私も長らく悩んでいましたが、お金は「人の能力を表すもの」というところに落ち着きました。役に立つサービスをつくればお金が入る。それはどれだけ人の役に立ったのかの指標ですよね。だからお金は人の能力を表すものであり、物の価値を表す、とても大事なものです。お金の面で家族を支えていくために、ただお金を管理するだけじゃなく、他の方のいいプロジェクトに投資して、そのサービスを応援することでお金を増やしていく方法を、今後より深く知りたいなと思っています。

神谷:たしかに、親しくなるほどお金の話はしないと言われますし、人前でお金の話をするのは無粋だという意見もあります。であれば、その文化を変えたい。お金はとても大事なもののはずなのに、日本ではお金について、子どもたちにちゃんと教えませんよね。だからダマされちゃったりすることもある。本当はお金の意義や意味は、教育を通じて考えていかなきゃいけないのに。

仮想通貨もひとつのお金だと考えたとき、「世の中の仕組みを変える」ことによって「日本の文化を変える」。その支援をすることこそ、我々のミッションだと思っています。

IMG_2076_ss


LINEのわかりやすい金融サービスを通じて、お金について学ぶ人が一人でも増えればいい。そんな理想を、一緒に実現してくれる方を探しているそうです。もし興味がありましたら、下記のリンクをたどって、ぜひメンバーに会いに来てください。

LINE Financialの仮想通貨事業では、以下のメンバーを募集しています。

#お金の未来

  • LINE Financial株式会社 人材採用ページ
    ※今回記事で紹介しきれなかった募集職種もあります。