こんにちは。はたらく机です。

LINEには、データの分析・研究を行うData Labsという部署があります。今回はその中で、Data Analysisチームのマネージャーを務める、牟田博和さんの机におじゃましました。

LINEのデータドリブンなカルチャーを牽引する、データサイエンティストとしての仕事の醍醐味、一緒にはたらきたい人物像などを聞きました。なんでも、ここにはデータサイエンティストとして、世界でもトップレベルを目指せる環境があるんだそうです。

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メガネがキラリ。

牟田博和(むた ひろかず)
Data LabsのData Analysisチーム マネージャー。2007年にソニー株式会社に入社し、半導体エンジニアとして勤務。2013年からは有限責任監査法人トーマツに入社し、データ分析を活用した経営コンサルティング業務に携わる。2015年11月にLINE株式会社に入社。現在は、サービスのグロース、マーケティング最適化など、社内のデータ活用に関わるプロジェクトの推進、データ分析を担当している。

データサイエンティストの使命とは


――LINEに入社したキッカケを教えてください。もとから「データサイエンティスト」だったんですか?

牟田:いや、もともとは半導体のエンジニアをしてました。6年間、ソニーに勤務して半導体の回路設計とか信頼性技術の開発をやっていました。デバイスを試作して、データを計測しながら、より良いものを作っていくような仕事でした。

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――データを扱う仕事ではあったんですね。

牟田:そうですね。今は半導体じゃなくて、ユーザーのデータを扱っていますが、それを分析してプロダクトに反映させるということをグルグル回していましたので、近いのかもしれませんね。ソニーを退社した後、監査法人のトーマツでデータを活用した経営コンサルティングをしていました。いろんな業種のクライアントの課題をデータで解決する仕事です。これはもうデータサイエンスの領域でしたね。

その後、2015年11月にLINEに入社しました。他の企業と比べて、データサイエンスの領域に伸びしろを感じたことや、ユーザーが多くて、膨大なデータに触れられそうなところに惹かれました。

――実際、入社していかがでしたか?

牟田:期待通りでしたね(笑)。

――そもそもデータサイエンティストって、どんな仕事なんですか?

牟田:私たちが扱っているユーザーデータって、あくまで「氷山の見えている部分」なんですよね。そこから、いかに見えない部分を導き出すか、というのがデータサイエンティストの仕事です。ただ単にログを集計して数字を見て終わりじゃなくて、その数字からユーザーの心理や行動パターンを想像して、アクションに落とし込むところまで、しっかり関わります。かなりの想像力が必要ですし、クリエイティブな作業なので、結果には分析した人のオリジナリティが出てきます。そこが面白いところですね。

――チームの役割としては、どんなことが求められているんですか?

牟田:プロダクトを開発したり、改善したりする一連のプロセスを、データを使って科学的にサポートすることです。LINEの全てのサービスをいい方向へ導くための意思決定を支援している、とも言えますね。

例えば、「このサービスは今後どのような機能を開発していくべきか」「どのような方向性で事業を展開すべきか」みたいなハイレベルな意思決定に関わる分析を提供することもあれば、「この機能にアクセスするボタンの配置が変わったらユーザーの行動はどう変わるか」みたいな、細かい機能に関するABテストの分析をやることもあります。

でも、データ分析は“魔法の杖”じゃないので、誰もが驚くような分析結果を出せることって、あんまりないんですよ。それよりも、サービスや事業の企画者が持っている「感覚」を、データの分析結果として定量的に再現することで、「チームとしてどこに向かうべきか」が可視化されたり、企画の細部をより良いものにするための「詰め」ができるようになったり、属人的な感覚じゃなくて、科学的な意思決定ができるようになることが、大事だと思っています。

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――たくさんサービスがありますので、やりがいありそうですね。

牟田:そうですね、なので、メンバーが足りません(笑)。コミュニケーションアプリのLINE、スタンプ、タイムライン、LINE NEWS、LINEマンガ、LINE MUSICなど、サービスが違うとユーザーの行動は当然、違ったものになります。ログの違いだけではなく、例えば、LINE NEWSとLINE MUSICではそもそも解くべき問題が全然違う。そういう意味で、データの多様性と、解くべき問題の多様性が面白いところでもありますが、大変なところでもあります(笑)。

はたらく机を見せてください


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何やら折れ線グラフがいっぱいの画面を見つめる牟田さん。意外にも紙のノートも愛用しているんだとか。

机の右隅に見えるのは、
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プロテインパウダー(ココア味)。筋トレ好きだそうです。

机の逆サイドに目を向けると、
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愛読書が! 統計、分析、マーケティングの文字が並んでいます。

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中でも、牟田さんがグレートだと思う本は、「世界はシステムで動く ― いま起きていることの本質をつかむ考え方」(ドネラ・H・メドウズ)だそうです。「システム思考は、ものごとを、フィードバックループを持つシステムとして捉えることで、複雑な対象の理解を深め、効率よく問題解決するための考え方です。LINEのユーザー行動はすごく複雑なので、これをうまく理解するためにこの考え方を参考にしています。データ分析とも相性が良いと思います」とのこと。

連携には“正しい翻訳”が必要


――いまのチームは、どんな体制で仕事をしているんですか?

牟田:私のチーム(Data Analysisチーム)には、データサイエンティストが12人所属していて、各メンバーは基本的に1つのサービスを担当しています。あとは、データ分析しやすい環境を作ってくれるインフラ周りのエンジニアが2人所属しています(2018年10月11日現在)。

参考記事
UseR!2018に参加し、社内Rパッケージ「liner」の活用事例を紹介しました


――チーム内ではどんな感じでコミュニケーションしていますか?

牟田:毎週2回の定例ミーティングを設けていて、そこで各担当の進捗や分析事例を共有しています。相談ごとがあれば、得意そうなメンバーを見つけてきて、直接コミュニケーションとったりもしていますね。

――各サービスの企画者とのやり取りも多そうですね。

牟田:もちろんです。私はLINEスタンプの改善プロジェクトを担当していますが、毎週の定例ミーティングに出席して、そこでデータ周りの課題がある場合は、解決をお願いされることもありますし、こちらの方から「ここはデータ分析で解決できますね」と提案することもあります。定例会議だけじゃなくて、チャット上でリアルタイムにやり取りすることも多いですね。

――専門用語が通じなかったりして、大変だったりしませんか? 私、そのあたり全然わからないのですが……(笑)。

牟田:そうですね……(笑)。ただ、チームメンバーとは「使ってくれる側のことをちゃんと考えてアウトプットしよう」という意識を共有しています。私たちはデータサイエンスも統計も理解していますが、そうじゃない人たちに伝えるためには、わかりやすく“翻訳”して伝えなければならない、と。逆に、相手から「こういうことをやりたいです」と言われたときに、きちんとデータに変換できる能力も大切だと思います。

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統計解析と仮説思考


――どんな人と一緒にはたらきたいですか?

牟田:一言でいうと、「複雑な問題を“再現性を担保した形”で解いて、それを適切にサービスに活かすスキルを持っている人」です。

――お、難しい。「再現性を担保する」って、どういう意味でしょう……?

牟田:LINEは、国内で月間7600万人の方が使ってくれています。中には、数十億円の売り上げになっているサービスもあります。そこでは、UI(ユーザーインターフェイス)をちょっと変えただけで、「1%、2%の影響がありました」という結果が出ることがよくあるんです。1%、2%って聞くと少ないように感じるかもしれませんが、7600万人というユーザー規模からすると、100万人くらいの行動が変わるわけです。売り上げ規模でも、数億円単位の影響になることがあります。

――数字の感覚がおかしくなりそうですね(笑)。

牟田:ものごとには必ずバラつきがあるので、そのバラつきによってデータがたまたま上昇したのか、それともちゃんとした根拠があって上昇したのかを切り分けないといけません。同じ操作をした時に、同じ結果を生み出せるものを「再現性がある」と表現しています。

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――なるほど、理解できました。

牟田:複雑な問題を解くためには、2つのスキルがあるといいと思っていまして、1つ目が、大量のデータを効率的に理解するための道具としての「統計解析のスキル」。2つ目が、限られた情報の中から適切な仮説を立てて、データで検証を重ねながら理解を深めるための「仮説思考のスキル」です。

現状でも「統計解析」に強みを持つメンバーは多いんですが、「仮説思考」がものすごく得意なビジネスコンサルティング出身の人などに入ってもらっても、面白いんじゃないかなと思っています。もちろん、両方バランスよくできる人が理想ではありますけどね。数字に強く、さらに頭が柔らかい人を求めています。

――数字からいろんなストーリーを読み解ける人……というイメージでしょうか?

牟田:そうですね。それを言語化して、資料化できて、ちゃんと企画に落とせる能力があれば最高です。


世界でもトップレベルになれる環境


――今後、新しいメンバーが入ったら、一緒にどんなことがしたいですか?

牟田:LINE NEWSやLINE MUSICとかのプロダクトに限らず、社内の全てのチームにデータを使ってほしいんですよね。「LINE社内を制覇する」じゃないですけど、すべてのファンクションでデータドリブンな判断ができるような環境を作っていきたいですね。

個人的には、世界でもトップレベルのチームになれると思っているんですよ。データの量やサービスの成長スピードなど、いろんな要素を考えてみても、LINEには本当にそういうレベルに行ける環境が整っていると感じます。

データサイエンティストとして、これほど恵まれた環境はないんじゃないかと本気で思います。チームメンバーも優秀ですし、何よりも「こういう技術を試したい!」と思ったときに、適用できるサービスがちゃんとある会社だというのは相当な魅力だと思うんです。

――あとで相談させてください(笑)。


はたらかないイス


社員がオフの時間を過ごす、お気に入りのイス(場所)を紹介するコーナーです。牟田さんの「はたらかないイス」はこちら!

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イス、というかカレー! 写真の手前にイスがあります。

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豪華なプレート。

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葉っぱがお皿。

牟田さんの趣味の一つは「カレー」で、先日インドまで食べに行ってきたそうです。写真はそのとき送ってくれたもの。これだけだと、ほんとにインドにいるのか分かりにくいので、外の風景も送ってもらいました。

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たしかに、インドまでカレーを食べに行っていたようです。ちなみに、自分で作るカレーは、いつも目分量。再現性を担保できていないんだとか。

Data Labsでは、以下のメンバーを募集しています。



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