LINEでは、常に新しいアイデアやサービスが生まれています。様々なサービスをローンチし続け、多くのユーザーに楽しく安全に使ってもらうために、多くの部門がプロジェクト・サービスを支えています。

そこで「LINEのなかみ」と題して、LINEで働く様々なチームを紹介していきたいと思います。

今回は、会社自体はもちろん多くのサービスを法的な観点でサポートする法務室について、室長の山本雅道に紹介してもらいました。


――LINEに入社したのはいつですか?

山本:2018年9月15日です。まだ1年経ってませんね。3年くらいいた気がしますが。


法務室の山本雅道。

――LINEに入社する前は何をしていたんですか?

山本:日系、外資系、企業、事務所、官庁、教職と、一通り経験しました。日本の大学の法学部を出ているのですが、司法試験を受けるどころかそのための勉強すらしておらず、卒業後は典型的な日本企業で営業・人事・国際法務などを担当するサラリーマンをしていました。一緒に仕事をした英米の弁護士にあこがれてアメリカのロースクールに留学し、J.D. (Juris Doctor degree)という3年間のプログラムを終了し、ニューヨーク州弁護士としてニューヨークで働き始めました。

これまで、2つの米系法律事務所、外資系企業の社内弁護士、官庁(金融庁・証券取引等監視委)などで働きました。M&A、ファイナンス、証券発行など、クロスボーダーの取引に関わることが多かったです。また、この7年ほど、日本のロースクールで国際関係の法律を教えています。アメリカのロースクールでもちょろっと教えたことがあります。

念願の博士号を取ったあと、選んだのはLINE


――なんでLINEに入社したんですか?

山本:官庁での任期が終了したあと、昔からの夢であった博士号を取ることに決め、友人の弁護士事務所を手伝いながらアメリカのロースクールに籍を置いて、2年間研究しました。博士号が取れたので、そろそろ現実の世界に戻らなければと思い、就職活動を始めたところ、エージェントから紹介されたのがLINEでした。

実は、最初に入った法律事務所にいらっしゃったのが、LINEの現執行役員の中山剛志さんでしたので、不思議な縁を感じました。中山さんがLINEに入ったことは知っていて、「アジャイルな会社だ」と伺っていてなんだか良くわからないなとは思っていたのですが、就職活動を始めてLINEの中のいろいろな人を紹介していただき、「とにかくなんか面白そうなことが出来そうだ」と感じて、入社を決めました。




――実際にLINEに入社してみてどうでしたか?

山本:思っていた以上に優秀な人が揃っていてびっくりしました。最初は副室長として入社し、今は室長をしているのですが、基本的にメンバーの皆さんにお任せして、私の仕事は皆さんが最大限に力を発揮できるような環境を作ることだと思っています。あとは、何かあったときに自分自身のクビを飛ばすことくらいですかね。

それから、とにかくスピードが速い会社だと聞いていましたが、こちらも思っていた以上に速いです。新しいサービスや企画が次々出てきますし、組織もどんどん変わります。十分な時間が無い中で判断を下さなければいけないことも多いですが、いい意味でも悪い意味でも退屈することがないです。

――室長として心掛けていることはありますか?

山本:変な時間に(笑)メール・チャット・LINEなどを自分からは送らないようにしています。業務時間外も仕事のことを何となく考えてしまい、たとえばお風呂やトイレの中で突然いいアイデアが浮かんだりすることがあります。そういう時には、すぐにメッセージにはせずに、「自分用メモ」という自分1人のLINEグループにTo Doやメモとして送り、メンバーにメッセージを送るのは通常の業務時間内にするようにしています。この「自分用メモ」は便利ですよ。一晩寝かせてみたら全然良くないアイデアだったということもありますし……。

LINE全体でもミッションと価値基準(バリュー)を掲げているのですが、法務室でも独自に「LINEをNo.1に導くリーガルプロフェッショナル」というミッションと、「アクセルとブレーキを適切に使い分けるリスクコントロール」というバリューがあります。法務室の一人ひとりがプロフェッショナルですので、ミッションとバリューは大切にしつつも、各人が大きな裁量を持って自らの判断で動いてもらうようにしています。

――法務室はどんな部署ですか?

山本:「室」というと、一般的には小さな組織を想像されるかもしれません。私も、友人にLINEの法務室に就職が決まったと伝えたら、「へー。で、メンバーは5人くらいでやってるの?」と言われました(笑)。実際は他社でいうところの「法務部」に加えて「総務部」の機能も一部持っているような大きな組織で、他部署との兼務者も含めると、50人を超えるメンバーがいます。そのうち弁護士資格者は日・米・中・台など、6割強でしょうか。法務室として今年、ASIAN LEGAL BUSINESS主催のJapan Law Awards 2019の一部門でIn-house Team of the Yearに選ばれています。


Japan Law Awardsでメンバーと記念ショット(写真提供=山本)。

法務室の中には、8つのチームがあり、それぞれのチームに管理職であるマネージャーがいます。内訳としては「法務」と聞いてすぐに想像できるような、契約審査や法務相談などを行うチームが5つあります。そのままですが、法務1チームから法務5チームという名前で、担当する事業部・サービスなどが異なります。法律事務所の「パラリーガル」にあたる、法務アシスタントの方も2人います。法務1~5チームに加えて、「法務」の関連業務や周辺サポートをするチームも3つあります。

法務室の構成



契約管理チームは、日々大量に稟議が上がってくる契約書の確認・修正・製本・押印などの管理業務を担当しています。日常業務を的確・正確にこなすだけでなく、システムや業務運用ルールの改善の企画と実行も求められてます。

事務戦略チームは、会社全体にかかわるような事務のうち、登記管理、社内規程の管理、インサイダー取引防止のための情報保持者管理、係争案件のサポートなどを担当しています。

最後にちょっと変わった名前ですが、リーガルオペレーションズチームは、昨年出来た新しいチームで、業務改善・人材育成・外部発信の企画と実行など、法務業務の最適化や法務室の強化を担っています。LINEのリーガルオペレーションズについては、「会社法務A2Z」という雑誌の2019年9月号(8月25日発売)に私が書いた論文が掲載予定なので、ぜひそちらもご覧ください。

ちなみに、会社によってはコンプライアンスや知財分野を法務部が扱うこともありますが、LINEでは別組織で、コンプライアンス・リスク管理室、情報セキュリティ室、知財チーム、さらに事業部などでも弁護士が活躍しています。




ベンチャーから街弁まで、メンバーの経歴は様々


――どんな人がLINEの法務室に向いていますか?

山本:何しろ変化のスピードが速いので、そういった環境を楽しんでいただけるような方が向いていると思います。判断力・分析力・文章力といった法務の基礎的なスキルを身に着けているだけなく、自ら学んだりスキルを伸ばしたりすることに意欲やチャレンジ精神があり、新サービス・新企画・組織変更などに柔軟かつ迅速に対応できるような方を採用しています。また、事業部から投げられた難しい問題にも、何とか出来る方法を考え出そうとしてくれるような、前向きな方は大歓迎ですね。法律事務所では「ダメです」で終わることもあるかもしれませんが、LINEでは「じゃあどうすれば出来るの?」と聞かれますから。

――メンバーにはどんな経歴の人が多いですか?

山本:法律事務所や他社法務出身で、LINEが2、3社目というメンバーがほとんどではないでしょうか。「大手法律事務所でミッド~シニアレベルのアソシエイトだった人」や「ITやゲーム会社など当社にある程度近い会社の法務部員だった人」が多いようには感じますが、いわゆる街弁出身で企業法務以外にも幅広い経験を持っている人、金融系のお堅い法務部出身の人、ベンチャーの一人法務で何でもやっていた人など、バラエティに富んだメンバーがいます。一昨年からロースクール出身の新卒社員の採用活動を始め、昨年・今年と1人ずつが入社しています。2人とも自分の担当サービス・部門を持ってバリバリ活躍していますよ!

なお、LINEはグローバルに展開しているから英語が出来なきゃダメと勘違いしている人が多いようですが、そんなことはありません。もちろん、日米上場していたり、特にアジアでは多くのユーザーがいたりしますので、英語が出来れば大きなプラスになるのは確かです。また、法務室にも、よくやり取りのある韓国にある子会社のLINE Plusにも、多くの外国人弁護士がいますので、グローバルな雰囲気はあります。ただ、日常レビューする契約書の大部分は日本語・日本法準拠ですし、担当するサービスや部門によっては全く英語を使わないこともあります。ですから、「英語が苦手だから」という理由だけで、興味の外に置かないでいただければと思います。


グローバルリーガルワークショップ@韓国。

LINEの法務室で働く3つのメリット


――LINEの法務室で働くことで得られる経験や価値とは?

山本:成長できること、働きやすいこと、多様なキャリアプランが用意されていることの3つでしょうか。1つ目の成長という点については、次々とサービスが生まれるので、サービスの立ち上げ時から関与できるチャンスが多く、1つの会社にいながら幅広いサービス・法律が学べることが売りです。先ほども言いましたが、メンバーは事務所・他社法務・官公庁出身などバラエティに富み、外国人弁護士も多く、多種多様な先輩から学ぶことが出来ます。担当するサービスや業務分野なども一人ひとりの希望や適性に応じて、たとえば適宜担当・チーム替えを行うなど、可能な限り柔軟に対応するようにしています。

2つ目の働きやすさについては、手前味噌になりますが、これだけ自由な法務組織も珍しいのではないかと思います。多くのメンバーがコアタイムさえ無い裁量労働制で働いており、求められるのは何時間働くかではありません。あくまで成果で評価されるという点は、勤務時間が決まっている一般労働制のメンバーにも当てはまります。私自身は遅くまでオフィスに残っていることはあまり多くありませんが、残っていたとしても、私がいるから帰らない・帰れないという人は皆無です。男女比はほぼ半々、私以外のメンバーはだいたい若く、中心は30代で、堅苦しさは全くありません。私を肩書で呼ぶ人は1人もおらず、下の名前からMasaさんと呼んでくれています。

3つ目のキャリアプランについては、大きく分けてマネジメントとスペシャリストという2つの道がありますが、他部門に兼務したり事業部に転身したりするメンバーもいます。全社的な「社内公募」という制度もあります。もちろんLINEの法務室で長く活躍していただけることが理想ではありますが、卒業生には他社法務・弁護士事務所へ転身した者もおり、それもLINEで「成長」できたことが大きかったのではないでしょうか。


――最後に、LINEの法務室で働くことに興味がある人に伝えたいことはありますか?

山本:私も何度も転職してきましたが、「入ってみたら全然思っていたところと違った」というのは避けたいですよね。このインタビューのようにLINE法務室からの情報発信も積極的に行っていきますが、「建前ばかりで本音は違うんじゃないの?」と思われるかもしれません。そこで、ぜひ当社のカジュアル面談や採用面接を受けていただいて、これから上司・同僚になるかもしれない面接官にどんどん質問していただいて、ぜひ納得尽くでLINEの法務室を選んでいただければと思います。

■募集ポジション
https://scdn.line-apps.com/stf/linecorp/ja/pr/yam.png
※参考資料