LINEでは常にサービスづくりのチャレンジが行われ、日々新たなプロダクトが生まれています。そこで“ゼロイチ”と題し、担当者たちにその概要やプロダクトを通じて実現したいこと、携わるメンバーなどについて話を聞いていきます。

今回は、スコアリングサービス「LINE Score」をベースとし、8月29日にAndroid先行でリリースした「LINE Pocket Money」(以下「ポケットマネー」)について、担当者3人に話を聞きました。


左から、LINE Credit サービス企画チームの川崎龍吾、山岡巧、谷口裕明。

金融業界からゼロイチへのチャレンジ


――自己紹介をお願いします。

谷口:僕は、新卒で地方銀行に入社し、その後ネット銀行へ転職しました。地方銀行やネット銀行では主に個人向けローンの信用リスク管理に携わっていて、2018年3月、LINEへ入社しました。LINE Score、ポケットマネーの構想、要件定義段階から関わり、現在はスコアリングに関わる企画全般とモニタリングを担当しています。

山岡:僕は、新卒で銀行のIT部門に入社して、インターネットバンキングやOpen APIなど、Web関連開発のプロジェクトマネジメントに従事していました。2019年3月にLINEへ入社し、現在はLINE Score、ポケットマネーの企画、ディレクションを担当しています。

川崎:僕は、2015年にLINEに入社しまして、それ以外は……LINE Scoreの記事で色々話しているので、割愛します。

全員:(笑)。

――LINEにはどんな魅力を感じて入社されましたか?

谷口:前職で個人向けローンのデータを扱う仕事をする中で、「金融×ビッグデータ」で新しいサービスを作りたいという思いが強くなり、LINEはそれを実現するためのベストな環境だと思いました。「Fintech」というワードが出てきて、伝統的な金融以外のデータも生かしたビジネスの可能性に興味を持ちまして、ならばしっかりとデータを持っている環境がいいなと。LINEはユーザー基盤があり、サービスの幅も広い。もともとデータを使った予測などが好きだったこともあり、そこがマッチした感じです。

山岡:僕は前職のIT部門のPMとして、金融サービスの開発プロジェクトに携わる中、次はWebプロダクトの企画から開発まで、一気通貫でチャレンジしてみたいと思ったんです。その頃にちょうどLINEが金融事業へ進出し始めた頃で。企画も含めて幅広く挑戦するなら、ゼロイチ(0→1)で作っていく勢いのある会社でチャレンジしたいなと思って入社しました。

川崎:僕は、多くのユーザーに価値のあるサービスを届けたいと考えていて、2014年のLINE CONFERENCEで「LIFE Platform」構想を発表していたのを見ました。その時、ここで挑戦したいと思って、2015年にLINEにジョインしました。

――皆さんのお仕事を教えてください。

谷口:スコア企画チームの所属で、プロジェクトの根幹に初期から携わっています。LINE Scoreの設計を検討したり、ポケットマネーでは、与信企画、与信管理、それ以外にも各種計数のモニタリングをやっていたり、幅広くやっています。

山岡:僕は、LINE Scoreでは今後のスコア活用に関する企画に携わっていて、ポケットマネーでは審査・契約管理システムの要件作成、仕様調整、またそれをWebサービスとしてユーザーにどう提供していくかといった基幹システムとサービスの連携企画を担当しています。

川崎:LINEの金融事業は構想段階から参加していましたが、今はLINE ScoreとポケットマネーのPMとして立ち上げを担当しています。

――谷口さん、山岡さんは入社してからのギャップとかありますか?

山岡:管理、マネジメントだけの人がLINEにはいないですよね。あとは、やっぱりスピード感は驚きました。大きな組織って、マネジメント専任の人が一定数いる組織構成になりがちだと思いますが、LINEは逆で。現場の裁量も大きいですし、驚きました。

谷口:これでこの大所帯を運営しているっていうのは驚きました。だからこそ、こんなにどんどんプロダクトが生み出されているんだというのは、とても腑に落ちましたね。

川崎:谷口さんは、これまでのLINEでのWebサービスの企画経験が中心のメンバーにはない視点や金融業界での経験が豊富ですごくありがたいです。抑えるべきリスクポイントなど、良い意味で僕らとは異なる知識や経験で大きな戦力になっていただいています。

山岡さんは、同じく金融業界での経験があり、システム企画としてのスキルも高くて、入社早々に欠かせないメンバーとして幅広く活躍してもらっています。ただ、山岡さん的な企画のメンバーがまだまだ足りなくて……。

――山岡さん的な、とは……?

川崎:サービス企画部門で、いまプロダクト作りに携わっているのは、3、4人。その中でも金融ならではの業務要件を深く理解して、システム設計や開発ディレクションをリードしてくれる人を探しています。必ずしも金融出身でなくても、SIerやFintechベンチャーにいるような、業務の勘所がわかる方は即戦力だと思いますね。そろそろ第二の山岡さんを見つけないとやばい……と思って、今日取材してもらっています!

全員:(笑)。

ユーザー体験を徹底的に考え抜いたUI、UX





――では、まずは皆さんが関わっているポケットマネーについて教えてください。

川崎:ポケットマネーは、LINE Scoreで算出されたスコアを元に、一人ひとりに応じた貸付利率とご利用可能額を決定する、個人向けローンサービスです。もちろん、従来の信用情報や金融機関が持つ与信審査のノウハウなども加味しています。

LINE Payと連動し、「申し込み、借り入れ、返済」のすべてのフローがLINE上で完結します。審査結果や返済期限も、専用のLINEアカウントからご案内しますので、簡単に借り入れ状況を確認できますし、返済忘れの防止にもつながります。既存のローンサービスとは違ったUI、UXになっています。

――このサービスにかける想いをそれぞれ聞かせてください。

谷口:多くの方が「借金は良くない」という、ネガティブなイメージをお持ちだと思います。一方で、「余っているところから足りないところへお金を供給し、有効に活用することで皆がハッピーになろう」というのが金融の本質で、借り入れは何かを実現するための有効な手段でもあります。

このプロダクトは借り入れや返済のフローが考え抜かれていて、ATMや無人機にいく必要はなく、郵送やメール等ではなく諸々の通知はLINEを通して行います。このように既存のものとは異なるUXを実現しています。「ポケットマネー」を通じて、借り入れをうまく活用して、少しでもお金と上手に付き合える人が増えてくれたらと思います。

山岡:借金という行為における、これまでのユーザー体験のイメージを打ち壊せるプロダクトだと思います。それくらい本当に考え抜いています。このサービスを使うことで、「今しかできない自分のやりたいこと」を実現できたり。より多くのユーザーが、金融によって幸せになるという体験を増やしていきたいです。

川崎:LINE Scoreが根幹にあるので、まさに「信用がチャンスに変わる」という世界観を体現しています。決して借入を助長したりするものではないですが、「今すぐ、ちょっと、あるといい。」というキーメッセージに込めているように、誰かの日常に寄り添えるようなプロダクトです。

当然、多くの方が「借金は良くない」という感覚をお持ちだと思いますが、僕らは「使っていることが恥ずかしいと思われないプロダクトを作る」と言うことをプロジェクト開始以来、徹底的にこだわりましたし、僕らの中に「借金やローンは恥ずかしい」という感覚で携わっている人はいません。

身近な「緊急事態(ピンチ)」に備えておく体験、圧倒的にスムーズで少額を借りて、いつでも返済できる体験、というUXにこだわっています。本当に「WOW」にこだわったプロダクトです。

――UI、UXで特にこだわったところは?

山岡:実際に契約が成立してからの、借り入れ、返済までのスムーズさにはこだわりました。本当に必要な際、このスピード感は非常に強みだと思います。

谷口:文言一つを取っても、細かいUXを追求してサービスを設計しています。「少額を借りてうまく活用して、しっかり返す」という体験を繰り返すことで、お金と上手に向き合える人が増えてくれたらと思います。

――スムーズさを実現したが故に、借りすぎ、貸し倒れ等のリスクもありそうですが、いかがでしょう?

谷口:借りやすい一方で、これまでのローンサービスとは全く異なるのが、返す時のUXにもこだわっている点です。返済の時にATMに行く必要もないし、インターネットバンキングを開いて、ログインして、振り込み申請……という長い道のりでもない。いつものLINEから返済できるので、返そうと思った時に、すぐ返せるんです。

川崎:約定返済の場合は、毎月返済日の3日前には必ず専用のLINEアカウントから通知がきます。一般的には郵送やメールでの通知が多いかもしれませんが、もしかすると、それを見ていない可能性もあるわけです。

うっかり通知を見てなくて忘れちゃって、それで延滞になって遅延損害金が付与される、というのは、誰も幸せじゃない世界観かなと。悪気なく遅延してる方って結構いる気がしていて、そういうリスクは減らせると思います。日常使いしていただいているLINEであれば、うっかり忘れの防止になる。それはユーザーにとっても僕ら提供者側にとってもハッピーなので、その辺りは強みかなと思います。

山岡:少額借りてしっかり返すという体験を繰り返すことで、成功体験を作っていただくこともできるかなと思います。繰り返しになりますが、本当に必要な時にうまく活用していだいて、やりたいことを実現していただけると嬉しいです。

その時にしか体験できないことや自己実現の手段に





――借り入れしてまで「やりたいこと」を実現すべきなのかな、という意見もあると思います。そのあたりいかがですか?

谷口:繰り返しとなりますが、借りやすいのと同時に返済のUXにもこだわっているので、返せないリスクも軽減できる可能性があって。後は、その人自身の価値観にもよるとは思いますが、これまで借り入れを怖いものだと思って避けてきた人にも、ポケットマネーを通じて返す自信をつけてほしいなという気持ちはあります。

山岡:その時に使えるお金が少ないことで、その先の自分の可能性を狭めることって意外とあると思います。「お金を借りる」ということでいうと、何かしらでローンを経験している人は実は結構いて、僕自身は奨学金で使っていましたし、それがないと大学に行けませんでした。

それは金額が高い話ですが、例えば、「どうしても仕事のために受けたい講座があるけど、ボーナスまでは手持ちがない」「短期で留学に行きたいけど、今は余裕がない」とか、もしも選択肢が用意されていれば手に入れられる機会だってあります。「あの時このお金が使えていたら、人生が変わったかも」という後悔をしないよう、その手段として提供できればと思っています。

谷口:自己実現的な使い道は提供者としてはありがたいですが、それ以外だと「その時じゃないと体験できないこと」ってたくさんあると思います。期間限定のオークションとかライブのチケットとか、「今買わないと」という制約がある時ですね。あるいは「月末になったらお金はあるけど、その時に払えなかったから諦めた大切な人との旅行」を後悔することもあると思うんです。

その時、自分への信頼としてLINE Scoreの点数があって、その先にポケットマネーの枠がある。信頼があるからこそ、5万円、10万円がその瞬間に使えるわけです。また次の日からしっかり返せたら良いので、借りること自体は悪いことではないのかなと。

川崎:僕も大学の時、クレカのキャッシングかリボを利用したことがあります。卒業旅行に行きたいけど学生時代ってお金はないし、親にも借りづらくて。結局5万円くらい借りたんですよね。いま考えると、金利はとても高かったし、返済の導線も見つけづらかった記憶があるので、ユーザーフレンドリーなサービスではなかったですが。でも、旅行自体は「行ってよかったな」と思う体験になりました。

ポケットマネーは、スコアに応じて個人にフィットした借り入れ可能額と金利を提示しますし、当時の自分だったらこれを使いたかったって思います。自分が作ったからじゃなくてそう思えます。

――私もキャッシングを使ったことがあります。でも振り返ると、あの時必要な出費だったと思います。

谷口:借り入れと返済をしっかり繰り返していくと、LINE Scoreが変動していく可能性もあります。それは他社にない、「スコアを持ち歩く」という体験だと思います。自分の行いに対して、良い結果が得られるという本当にフェアなサービスだと思います。

――LINE Scoreが6月にスタートして、実際に「信用を持ち歩く」というのが現実的になったきましたね。

川崎:メッセンジャーを基盤にしているスコアリングサービスは、国内ではLINE Scoreだけ(2019年8月時点)なので、そこは差別化ポイントかと思います。

LINERとパートナー企業の攻めと守りが融合したプロダクトへ





――川崎さんは、LINE Financialの構想時代から金融事業に関わっています。改めて今どんな気持ちでしょうか?

川崎:当初はまず、LINE視点で良いと思うユーザー体験をどんどん考えていましたが、僕は本当に金融は何も知らない立場だったので、パートナーさんからも色々意見をもらって、ディスカッションしながらブラッシュアップを繰り返して……本当に何度も企画を作り直しました。

ユーザーの資産を預かる観点で、各種リスクへの対応も数多く指摘いただき、今のこの形でリリースすることができました。ユーザー体験は守りつつ、大切な部分も守ることができるプロダクトになったと思います。


プロフェッショナルでフェアな現場





――LINE Creditはどんなチームですか? いつも雰囲気がいいなって思うのですが。

山岡:運営元のLINE Creditは、兼務メンバー含め、当時20人程でスタートして、徐々に仲間も増えて今は60人くらいの規模になっています。この規模で1年半でのリリースは驚異的な早さですし、結果的に良いプロダクトが出来上がったのは感慨深いです。

谷口:困ったことはメッセンジャーで聞けばすぐに答えも返ってきますし、何より本音で話せるのでストレスがないですね。前職ではチャットを使っていなかったので、最初は正直スピードに慣れるまではしんどかったです。でも、結果的には仕事が進めやすい良い環境だと思っています。

山岡:がちがちにマネジメントされるわけではないので、仕事を完結させるまでに、ある程度自分でビジョンと意思を持ってタスクを進めて、必要な関係者を巻き込んでやっていくような自走力を生かした動き方が好きな人には、いい環境だと思います。

川崎:あと、皆自分の成果をドヤったりしないですね。プロフェッショナルでアウトプットにこだわる人が多いし、ユーザー視点で本音で、率直にガンガン言い合っています。そういうのが雰囲気の良さに繋がっているかもしれません。

谷口:川崎さんの人柄もあると思いますよ。

川崎:お……。ちょっとこれ書いておいてくださいね。

全員:(笑)。




――LINE Credit株式会社の社長の吉永(幹彦)さんは、どんな方なんですか?

川崎:現場にも関わっていますし、僕らとの距離も近くて、良い意味で少年のような人です。アピールする人を評価するとかも全くなく成果主義ですし、フェアな人だと思います。

谷口:ちゃんと本音で話せる雰囲気がありますよね。そういう雰囲気を自分の意思で作ってくれているのかなと思います。

山岡:現場に任せている感がある、というか、すごく信頼してくれてるなと思います。だけど、締めるときはしっかり締める。本音はちゃんと言う一方で、自分が口を出すことじゃない時の見極めもされていると思います。現場も率直にオーナーシップをもって進めている人が多いですが、それは社長の人柄も関係している気がしますね。


――他の部署との関わり方はどうでしょう?

川崎:法務、セキュリティなどいろんな部署と関わりますが、プロフェッショナルが多いと思います。業界のなかでもだいぶ水準高いと感じますし、そういう人と仕事できるのは楽しいですよ。

山岡:守りの部署って、それが必要な時もありますが、「セキュリティを最大限守るために、リスクは取れない」みたいなスタンスが一般的なのかなと思います。LINEのメンバーは違っていて、「ここまでのリスクはこうするから、こういう方法だったらどう?」と逆提案してくれるんです。守りだけじゃないその姿勢はありがたいです。

谷口:時にはリスクを取るべき場面もあると思います。ゼロベースで提案してくれるので、そこは仕事が進めやすいですよね。


「未来志向のスコアリング、ローンサービス」を一緒に





――今、LINE Creditに入る魅力とは?

山岡:新しいものを世の中に出した後、ユーザーからの反応をみるのは醍醐味ではありますよね。ポケットマネーは、今後もブラッシュアップしていきたいので、世の中に出してユーザーの声を聞いていきたいです。今ジョインいただくと、産みたての状態からプロダクトをより良くしていける時期なので、すごく良いタイミングかと思います。0→1ではないですが、1→10の仕事をぜひ一緒にやりたいです。

そういえば……今思い出しましたが、僕は3月に入社した時、最初は社内wiki(LINEで利用しているコンテンツ管理ツール)を読んどいてと言われて、しばらく放置されてました(笑)。

谷口:そうだった、すみませんでした。でも山岡さん、本当にずっとwiki読んでるんです。

山岡:当時、役割が皆それぞれ違っていて、眺めている限り余裕もなさそうな状況で。ミニマムの人数で最大限のアウトプットをするっていう感じでした。その中でなるべく自分でやれることを探そうとしてました。

川崎:wikiを読んで、たまに質問くれるんですけど「あ、そのwiki、間違ってるので修正しておいてください」とかいう始末で……僕らダメですね。

山岡:なんか良きベンチャーな雰囲気だなって思いましたよ。

川崎:今は当時よりは余裕があると思いますので、ご安心ください……。

全員:(笑)。

川崎:ポケットマネーもそうですが、それをベースにしているスコアリング自体がチャレンジングです。日本に今までなかったサービスを作ろうとしています。そもそもチャレンジングな姿勢で集まったメンバーばかりです。「未来志向のスコアリング、ローンサービス」に興味がある方は、ぜひチャレンジしにきてほしいです!

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