LINEの価値基準「WOW=NO.1」を生み出すために、リーダーたちは何を考え、行動しているのでしょうか。

LINEらしいやり方、考え方をまとめた「LINE STYLE」(11項目)を紐解きながら、各部門のリーダーたちのワークスタイルに迫る「私のSTYLE」。2回目は、広告ビジネスを担当する執行役員の池端由基と、LINE Pay株式会社COOの長福久弘の登場です。

営業畑を歩んできた二人に、「営業としてのLINE STYLE」についてたっぷり語ってもらいました。LINEの営業は、立ち位置が少し特殊なようです。


笑顔をリクエスト。「WOW=NO.1」ボードを掲げる長福(左)と池端。

池端 由基(いけはた ゆうき)
執行役員/広告ビジネス事業担当。サイバーエージェントで営業職に従事した後、2013年1月、NHN Japan株式会社(現LINE)へ入社。2016年7月、LINE Ads Platformのリリースに合わせて専属営業組織の立上げに参画し、営業の責任者に就任。現在は、広告事業本部長としてLINEの広告ビジネス全体を統括している。

長福 久弘(ちょうふく ひさひろ)
LINE Pay株式会社 取締役COO。不動産業からキャリアをスタートし、20代半ばで起業してアイスクリームチェーンを経営していたという変わった経歴の持ち主。2009年、ライブドア(現LINE)に入社し、2013年にLINE Business Partnersへ出向。2014年から同社の代表取締役を務める。2017年にLINE Business PartnersとLINE Payが合併し、LINE Payの取締役COO就任。


80分間たっぷりと語ってもらいました。

第一印象は普通に怖かった


――今回は池端さんから、対談相手は「ぜひ、長福さんにお願いしたい」とのリクエストがありました。お二人の関係から聞かせてください。

池端:長福さんはLINEに入社して最初の上司だった方です。2013年1月に中途採用で入社したとき、オフィスがあった渋谷ヒカリエのカフェに迎えに来てくれたのが長福さんでした。第一印象は、普通に怖かったです(笑)。実際、一緒に仕事をしたのは2カ月くらいでしたが、その後も不定期で食事に行って、お互いの近況報告をしたり、何かあれば相談に乗ってもらったりしています。兄貴のような存在ですね。

長福:当時、私はLINEの旧広告事業部でマネージャーをしていました。池端さんはその時の私のチームに入ってきたんですけど、2カ月後に私がLINE Business Partners(現LINE Pay)に異動になったんですよね。

池端:入社当初は、長福さんに言われて週報みたいなレポートを毎週送っていましたね。一緒に仕事をした期間は短いですけど、長福さんがレポートをちゃんと読んでくれて、「他のメンバーも見ているよ」とレスポンスいただいたのを覚えています。

長福:そうだったっけ(笑)?

池端:当時、それくらいしか直接の関わりがなかったんです。週報が唯一、自分の考えをアウトプットできる場だった気がします。その経験があるからか、いま私も新卒メンバー全員に日報を送ってもらっています。私自身も7月から週報を始めていまして、広告事業本部のメンバー全員に、その週に考えていたこと、思ったことを共有するようにしています。


いま考えていることや、学んだことを「週報」として、メンバーに共有している池端。ときに4000字を超える内容は、もはやメルマガといってもよさそう。

強みは「勝ち続ける覚悟」


――いまのお二人のミッション(WOW=NO.1)は何でしょう?

池端:広告事業の「売り上げ最大化」が私のミッションです。会社のミッション「CLOSING THE DISTANCE」と照らし合わせて言えば、「ユーザーと世の中のサービスや企業との距離を近づけること」です。それが、広告収益の最大化につながると思っています。

長福:LINE Payの事業も、基本的には「ユーザーとお店の距離を縮める」のがミッションです。LINE公式アカウントならば、お店に来てくれたお客様に友だち登録してもらって、クーポンを送ることで再来店を促す。LINE Payであれば、LINEを使って決済してもらうことで、LINEのユーザーが、お店にとってのお客様にもなるように働きかけています。

池端:長福さんは、ご自身の役割やミッションが短いスパンで変わっていますよね。しかも常に、重要な事業領域で仕事をされている。僕が長福さんをスゴいと思うのは、変化する状況に自分を柔軟にアジャストして、どの領域でも求められている以上のコミットメントを発揮しているところです。そのコミットメントの奥には「勝ち続ける覚悟」があると感じています。自分自身のみならず、組織ごと動機づけできるところが、ストロングポイントだと思います。

長福:私も池端さんのコミット力はスゴいと思っているんです。LINEの事業の中で、一番成功した事業がLAP(LINE Ads Platform)という広告事業。それを立ち上げからずっとやってきて、日本の広告の中でメジャーな媒体になるまで成長させたのが池端さんです。

広告とサービスのコンテンツは相反するところがあるというか、ユーザーの観点からすれば、広告って目障りな存在ですよね。その中で広告を事業として成り立たせるのは難しいことで、反対する人も多くいます。それを一人で、社内だけでなく社外の代理店とも闘って、周囲を巻き込みながら今日まで成長させてきた。部下からの信頼もあついですよね。


長福のアイスクリームチェーンを経営していた頃のエピソードは、もはや営業時の鉄板ネタ。

「WOW=NO.1」で変化したアクション


――普段の仕事の中で「LINE STYLE」をどう捉えて、活用していますか。

池端:業務の振り返りや、みんなで議論してほしいときに、自分の発言にLINE STYLEのワードを入れ込むことで、会社の考え方とズレないようにしています。例えば、広告営業の視点だけで考えて、「ここに広告を出したら効果があるはずだ」と安易に決断したくなる瞬間って、日常に山ほどあるんですよ。でも少し立ち止まってLINE STYLEについて考えると、「ユーザーにとって価値あるものでなければ、広告を出す意味がない」という思考まで戻れると思っています。

長福:LINE Payは急成長していて、社員の半数以上が2018年以降に入社しています。もちろんみんなマーケットを理解してはいるんですが、「LINEがなぜこれだけ成長したのか」とか「LINEのアイデンティティはどこにあるのか」はしっかり伝わってなかったりする。それを伝えたいときに、LINE STYLEとして明文化されているのはいいですよね。

普通の会社では、昨対比105%、110%を狙いにいくのかもしれないけど、我々はそれではダメで。常に1000%を狙っている。0から100にすることを考えなければいけないんですよね。

池端:今年「LINE STYLE」が2.0にバージョンアップされて、「WOW=NO.1」と明確に言い切ったのはよかったですね(※1.0バージョンでは「WOW」とだけ表記されていました)。

長福:そう思います。「事業を成長させよう」といった言葉が出ることはあっても、「NO.1になろう」っていうフレーズは、意識しないと出てこないんですよ。NO.1を目指すからこそ導かれるアクションとか、ジャッジってあると思うんです。「WOW=NO.1」という考え方が上位概念にあると、組織として目指すところが明確になります。

池端:広告でいうと、今の僕たちのポジションは国内で4番手なんです。それに対して、「まずは3番手の企業を3年で超えよう」と言うようになってきた。NO.1になることを、具体的に意識できるようになったと思います。

編集担当メモ:
「NO.1を目指す」と言い切ると、アクションやジャッジが変わる。

営業としてのLINE STYLE


――「LINE STYLE」を上から順番に見ていきましょう。こちらの4つの中で特に意識している項目は?



池端:この4つはつながっているので、どれを重要視しているかっていうのは難しいですが、あえて選ぶなら「Users Rule(全ての原点は、ユーザーニーズ)」ですね。広告事業の領域でいうと、ユーザーというのはサービスのユーザーだけじゃないんです。顧客ニーズとかマーケットニーズもしっかり理解しようという意味でも捉えています。何かを決断するときは「ユーザーニーズってどういうことだろう?」と問い直すようにしていますね。

長福:私は「Perfect Details(追求すべきは「紙一重」の違い)」ですね。これからAIが発達する中で、営業は消えていく職種だと言われています。自動化が進んでいったときに、営業として人間が介在する意義は何だろう? と考えると、ディテールまでこだわったクオリティとか、最後の一手みたいなところにしか価値がないと思います。



長福:例えば、何かトラブルが起こって、取引先からクレームをいただいたとします。元はといえばお叱りを受けているわけですが、真摯に対応すれば「素晴らしい対応してくれる会社だ」と感謝してもらえるチャンスにもなります。あるいは、取引先からの提案を断るような場面でも、「ユーザーの行動原理を考えると、こういう理由でやめた方がいいです」ときちんと説明することで、「この人たちはお金儲けだけじゃなくて、私たちのことも考えてくれるし、ユーザーのことも考えている」と、かえって高い評価をしてもらえるかもしれない。

営業担当は会社のフロントに出ることが多いので、その人の対応の仕方が会社全体の評価に関わってくる。その意味でも、「紙一重」の違いを追求すべきだと思っています。

編集担当メモ:
「紙一重」の違いがピンチをチャンスに変える、こともある。

「予感」を共有する


――次の3つは、チームワークについて語られていると思います。この中で特に意識している項目は?




池端:Keep in Sync, Aiming for the Same Goal(同じゴールを目指し、同期し続ける)」ですね。同期し続けるのって、すごく難しいことだと思うんですね。ゴールを共有すること自体はそんなに難しくないけれど、ユーザーニーズや市場環境が常に変化する中で、同期し続けることが重要なんだと思います。

予感を共有する」というある列車デザイナー(水戸岡鋭治さん)の言葉があります。「これを作るとこんな世界が生まれる、お客様はこういうふうに喜ぶ」みたいに、自分の描いた「予感」をみんなに共有できる人は、きっとその「予感」を実現できる人なんですよね。ゴールの共有だけじゃなくて、「今、目指していることを実現できたら、こういう未来が待っている」と自分が感じているレベルで、みんなに共感してもらえる。そこまでブレイクダウンして話すのが大事だと思います。

長福:「予感の共有」というのは、池端さんの強みの「巻き込み力」にもつながりますね。

池端:今、新しい広告事業として、トーク画面上部の「スマートチャンネル」に大きな動画広告を出そうとしています(2019年9月現在、一部代理店向けにリリース済み)。それってCM業界をまるごと変えてしまうようなインパクトがあると思うんです。僕は社外に対しても、「これって、今の私たちの常識を覆せると思えませんか」と予感レベルで話すことがあって。パートナーやクライアントが共感し始める瞬間を肌で感じたりする。そういうときはすごく高揚しますね。



――長福さんは、いかがでしょうか? チームワークについて特に意識していること。

長福:私も「Keep in Sync, Aiming for the Same Goal(同じゴールを目指し、同期し続ける)」ですね。営業って、予算を達成したら評価されるのが普通ですよね。だけど、LINEでは「常にNO.1を目指す」という考え方なので、予算を100%達成したからといって評価されるとは限らない。そこが難しいところですね。ただ、NO.1を目指しているからこそ、できることもあります。マーケットに対するアクションで、世の中を変えていくことです。

先日、自分が営業をしたお店で食事をしたときに、お客様がLINE Payで決済していたんですよ。今まで現金やクレジットカードを使っていたはずなのに、LINE Payで決済してくれた方を目の当たりにして、我々は人の生活を変える仕事をしていると実感しました。数字の成果も大事ですが、自分がユーザーの生活や未来を変えていけるんだ、ということこそが、LINEで営業をやる価値なんだと思います。

池端:いくら大きな売上を達成したところで、ユーザー体験が豊かになっていなければ意味がない。営業組織全体に、数字以外の目標や世界観を伝えていく必要を感じますね。だから、営業のマネージャー陣、リーダーに求められる能力はすごく高いです。私自身、もともとは数字を積み重ねていくようなスタイルでやってきましたけど、今のような考え方に変わったのは、LINEという会社の環境や「LINE STYLE」として明文化されたマインドが影響しているような気がします。

長福:意識するというより、自然とそういう考え方になっていきますよね。



池端:この会社で営業をやるのは、すごくレベルが高いと思いますよ。「数字を上げた人間が正義」というのが大前提の職種でありながら、そうではない評価軸も入ってくるので。難しいんですけど、普通の営業では成しえない、世の中を変える経験もできるはずです。

編集担当メモ:
この先の「予感」を共有しよう。数字を上げるだけじゃもの足りない。世の中を変える経験こそが価値。

無邪気で失敗を恐れない


――次の2つに関してはいかがでしょう? 仕事の進め方についてですね。




池端:1% Problem-finding, 99% Solution-making(「できない」から「できる」をつくる)」は大事ですよね。「できない理由」は、たくさんあると思います。工数が掛かりすぎるとか、技術的に難しいとか、顧客コンディション的にとか、そういう要因で簡単に「できない」と言ってしまう人が多い。

でも、できない理由はわかっているから、実現するためにはどうするのか、を考えるのがとても大事だと思っています。スペックを下げてでもいいから、できる案を考えないと始まらない。それが、先ほどの「Stay a Step Ahead(完璧さより、まず踏み出す勇気)」にもつながるのかもしれないですね。

長福: LINEってすごくオープンだし、失敗が許容されている会社です。何より、トロイカの3人(CEOの出澤剛、CWOの慎ジュンホ、CSMOの舛田淳)が無邪気で失敗を恐れない。だから何でもやっていい気がしますね。昔、新規事業の立ち上げをしていた頃、「あんまり人的リソースをかけちゃダメだよな」と思って2日間かけてミニマムのプランを考えていったら、舛田さんに「そんなの、コールセンターを300席用意したらいいじゃん」って言われたんですよ。月3000万円くらいかかるのに。それをさらっと言われた瞬間に「俺は、なんて小さいことを考えていたんだろう」と思いました。それから、やれない理由をなくして考えられるようになったかなと。



編集担当メモ:
できない理由はたくさんある。それはいったん抜きにして考えよう。

すべてがつながっている


――最後の2つは、マインドについての項目ですね。




長福:Enjoy the Challenges(ワクワクしなければ、仕事じゃない)」で思うのは、せっかくLINEで営業をやっているのであれば、未来を夢見て、楽しんで前向きに仕事してほしいなってことですね。もちろん大変なことや辛いこともいっぱいあるんですけど、楽しいこともたくさんあって、素晴らしい景色を見ることができる。

池端:「ワクワク」で言えば、私はLINEに入社してから毎年、個人的にビジネス以外での目標を立てていました。極端な例でいうと「EXILEと仕事したい」って決めたこともあったし(笑)。

長福:実際できましたよね(笑)。

池端:できました(笑)。新卒で入ってくる社員にも、いつも言っているんですが、「自分を飽きさせない、自分自身が楽しめる領域の目標は持った方がいい」と。今は、LINEの広告の売上をNO.1にするというのが、自分のワクワクをかなえる目標にもなっています。その先にあるのは、新しい広告のモデルを作ること。例えば、「テレビの番組の間にCMを流したらお金を取れるんじゃないか」とか、「ネットで検索したときに、結果とあわせて広告が出てきたら、もうかるんじゃない?」など、そんなことを思いついた人が過去にいるわけです。LINEはそちら側になっていくべきだと思いますね。

だから、広告の売上NO.1は目指しているんだけど、そこがゴールじゃない。10年後、20年後に自分たちが誇れる新しいマーケティングモデルを作っていきたい。そのためにはLINE PayはNO.1にならないといけないし、だからこそ、営業が稼いだお金をサービスに投資している。自分の中では、すべてつながっているんです。



編集担当メモ:
NO.1はゴールじゃなくて通過点。自分を飽きさせないようなワクワクを持とう。

もう1つのEnjoy the Challenges


――プライベートでもチャレンジを楽しんでいることがあれば、教えてください。

池端:最近、人前で話すことが多くなったので、姿勢を美しく保つためにも、週1回パーソナルトレーニングに通って体幹を鍛えています(笑)。あと、実はもうすぐ子どもが生まれる予定なんですよ。一番いいベビーカーを買うっていうチャレンジをしましたね(笑)。

8月6日に無事、お子さんが生まれたそうです(写真提供:池端)。


もうすぐ活躍する日が来ます。

以上、「営業としてのLINE STYLE」について語ってもらいました。ただ売り上げだけを追求するわけではない、LINEらしい営業の在り方が垣間見れたように思います。

LINEでは下記の営業職メンバーを募集しています。もしLINEの営業のSTYLEに共感できる方がいましたら、ぜひ下記リンクをたどって、二人に会いに来てください。

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