2019年12月4日、LINEの社内カフェにて「LINE NEWS Meetup Vol.2」が開催されました。
あらゆる情報を個人最適化し、最適なタイミングで届けることをミッションに、新しいチャレンジをし続けているLINE NEWS。2013年のサービス開始以降、6,800万MAU/120億PVを達成(2019年7月末時点)し、右肩上がりで成長を続ける国内最大級のメディアプラットフォームとなっています。

今回のMeetupでは、広告・マーケティングPR・データ分析の専門性の高い3領域が、いかにしてこれだけの規模の成長を支えてきたのか、その面白みや苦労についてお話しました。
1. 事業部付でサービス×広告の最大化を目指すプランナーの役割と泥臭い舞台裏
武田真太朗
2. マーケ・PR・リサーチ領域の今までとこれから
〜ユーザーを深掘りながらLINE NEWSの今後を探る〜
山木奈都子
3. 企画チーム所属のデータアナリストの使命と役割
與田智子
セッションの終了後には懇親会も行われ、盛りだくさんだったイベントの一部を紹介します。
サービス×広告の最大化を目指す広告マネタイズ
まずニュース事業部の武田真太朗より、広告マネタイズに関してお話ししました。

武田:私が所属するLINE NEWSの広告チームの、現状と課題についてお話しします。LINE NEWSは、広告でマネタイズをしてまして、運用型広告の「LINE Ads Platform」と記事広告「DIGEST Spot」の2つの広告があります。
売上は順調に右肩上がりで伸びてまして、デジタル広告の年間成長率を大きく上回って成長しています。2019年のアグレッシブな予算目標を1ヶ月以上も前倒しで達成し、全社の売上成長にも貢献することができました。
私のいるチームは、ユーザー体験の向上を目指すニュース事業部としての役割と、売上向上を目指す広告事業部としての役割の両方のいいとこ取りができる立ち位置で、大きなやりがいを感じられています。
今日は、LINE NEWSでの売上の比率が大きい、自社の広告プラットフォームの「LINE Ads Platform」の方に絞ってお話します。
LINE Ads Platformについては、ニュースの広告チーム・セールスのチーム・PMのチームという3つのチームで連携しながら、それぞれの立場に縛られることなくフラットに「どうやったらLINE NEWSの売上を伸ばせるか?」を常に議論しています。週4くらいで顔を合わせてますね。
仕事の流れとしては、いわゆるPDCAに近いですが、現状に対する仮説を考えて仕様を検討し、制作ディレクションとA/Bテストの設計をし、リリース。そして結果を確認して判断するというのを、ひたすら繰り返しています。

LINE NEWSの広告に携わって恵まれていると思っているのは、まずユーザーの数が多いのでテスト結果が素早くわかるという点です。普通だと2週間かかるようなテストも、3~4日くらいで方向性は見えてくることが多いです。そのためテストはかなり頻繁にやれていて、ひと月に1〜2周は常になんらかのテストを回しています。また自社のプラットフォームというのも数値の分析をする上での良い点で、様々な数値を見ながら判断できるのが大きいです。
では、実際にどんなテストをやっているの?ということで、こちらの広告についてご紹介します。最初はよく見るデザインで、上にテキストがあって下に画像があって、という構造だったんですが、記事のデザインに寄せる形でテストしてみました。

このA/Bテストでは、実は最初はサービスの数値も広告の数値も、全てが上がることは期待してなくて、「誤クリックが増えてCVRは下がるんじゃないか?」ということも懸念していました。が、結果的にはCVRは上昇し、さらにスクロール数が増えるなどのサービス側の数値もアップしまして、数十億円もの売上を増加させることができました。
現在は、運用型広告は改善を粛々とこなしていくという感じで、単価を上げること、またもっと効果的にテストして分析することが必要なフェーズです。そして今日お話をしていない記事広告については、売上の比率的にどうしても回しになりがちなのが課題としてあります。
ただ、実はメディアやユーザー観点で言うと、こうした区分はあんまり関係ないと思っているので、LINEらしい、LINE NEWSならではの広告を作らねば、と意気込みとして思っています。
また、日本のスマホメディアでの広告マネタイズの領域で、グローバルジャイアントに勝ち目はあるのか?と言うと、僕はあると思っています。6,800万MAU・120億PV・数十億の月間impを持っていることに加え、まだまだマネタイズに活かしきれていないLINE NEWSの取り組みがたくさんあります。今後はこれらを掛け合わせて、新しい価値を生み出す広告を作っていきたいと考えています。

ユーザーを深掘りするマーケティング・PR・リサーチ
次に、マーケティング・PR・リサーチ領域について、マーケティング戦略チームの山木奈都子よりお話ししました。

山木:私からは、マーケティング・PR・リサーチ領域におけるLINE NEWSの現状と今後の課題、やりがいについてお話しします。
マーケティング・PR・リサーチは、業務内容がかなり広く多岐に渡ります。
まず、マーケティングの領域では、LINE NEWS公式アカウントの友だち獲得を目指し、この「ダイジェスト」機能をユーザーにより使ってもらうための施策を行っています。

この「ダイジェスト」は、媒体各社が編集するメディアでして、ニュースを直接読者に届けることができる機能です。ユーザー側は好きなメディアを友だち追加することで、定期的にそのメディアのダイジェストニュースを受け取ることができます。これは他のニュースサービスと大きく異なるLINE NEWSの特徴でもあります。
このダイジェスト機能について登録導線がわかりづらいという声もあったため、集客課題を解決するものとして、LINEスタンプを使ったキャンペーンを実施しました。

キャンペーンはやることがかなり細かく、リリースまで3ヶ月くらいかかります。このスタンプキャンペーンで必要なタスクを数えてみたんですが、100以上のステップがありましたね。

ここまでコストがかかるものをやる理由、それはそれだけの効果があるからです。LINE NEWSは20回以上キャンペーンを重ねているんですが、その間でLINE NEWSオリジナルアカウントの友だち数は累計2.1億にまで達することができています。
これだけの効果があるので、外部出稿よりも、内部でキャンペーンを実施することが優先されています。やはり、費用対効果がだいぶ違いますので。
現状として、集客キャンペーンは「量から質への転換」をやっていまして、これからは興味関心度の高いユーザーの友だちを獲得し、エンゲージメントの高い集客をしたいと考えています。
また、これまでは公式アカウントの友だち獲得に特化していたので、今後はLINE NEWS全体の戦略やブランディングに寄与するための広義のマーケティングもやっていきたいと思っています。
次にPR領域では、新しい発表がある時のプレスリリースと、イベントでの登壇などを行っています。
ユーザーリサーチの領域では、新機能のリリースや改善する際にはリサーチをかけていまして、ログの数値だけでは掴みとれない数値やインサイトを深掘りしています。このユーザーの心理的な状況を数値で見て、リリースの一つの判断軸にしています。
PRとリサーチに関しては、これまではチーム内に専属担当者がいなかったこともあり、施策がアドホックになりがちでしたが、今後はLINE NEWS全体の事業戦略と連携しながら縦横に機能するチームになりたいと考えています。
実は、このチームは10月半ば、(この発表時の)1ヶ月前とかに発足したばかりで、5~6人とかの体制でやっているんですね。なので興味ある方々、絶賛メンバー募集中です。
最後になりますが、私の感じるLINEのやりがいをご紹介します。主に5項目あります。

やはりサービスの規模が大きいので何をやるにもスケールが大きく、マーケティングやプロモーションの大きなやりがいに繋がっています。
あとは、スピード感が半端ないこと。他社の3倍の感覚で、1年いるだけでもう3年いるんじゃないかという感じさえします。これ、LINE社内ではよく言われてることだったんですが、本当です(笑)。
そして、とにかくユーザーファースト。そして上位レイヤーとの距離が近く、さらにその上の執行役員とも距離が近いです。週に何度もMTGがありますので、意思決定も早いですし、それが伝わるのも早く、それに伴う動きも早いです。ユーザーファーストと、プロダクトドリブンのもとで、どんどん進めていけるところはLINEの面白みだと思います。
このチームでこれからやるべきこと、やれることが多いということもやりがいですね。
データアナリストの使命と役割
さて最後は、データ分析について與田智子からお話しました。

與田:私からは、ニュース企画チームに所属するデータアナリストの役割についてお話します。

大きく業務内容は4つあります。まず1. KPI に関しては、いまの進捗で目標は達成できるのか?というアラート発信や進捗管理を行っています。
2. 施策パート が業務として最も大きいボリュームになるのですが、記事だけではないあらゆるコンテンツの施策に関する効果測定や詳細分析を行っています。
3. Growth Hack プロジェクトとしてはLINE FukuokaのData Labsと連携し、LINE NEWS全体のユーザー行動分析を行ったり、ユーザーのエンゲージメントを定性・定量の両面から測定し、施策に活かすための提案を行ったりしています。
4. データ連携 では、LINE NEWS以外のチームと連携・協力し、よりよいサービスの提供を検討・実施したり、全社横断のデータ積極活用PJとして、NEWSのデータ構成の明文化やクレンジングを適宜行ったりしています。
今日は、2. 施策 について「Deep Personalization」に関するA/Bテストの事例を紹介いたします。

このTOP箇所はパーソナライズされていて、人によって全然違う記事が出ています。私たちは「FOR YOU」と呼んでいるエリアなのですが、この箇所の最適化を特に注力して行ってきました。なにせTOPなので、CTR数%アップするだけで毎月で数億PVがプラスになるんですね。
より個々にマッチした記事を表示することで、CTR=PVを伸ばすべく、2019年4月からA/Bテストを約15回実施し、ロジックチューニングを繰り返していました。
例えば直近のテストでは、ユーザーの長期的興味関心(Long Term Preference)を適用したロジック、詳しく言いますと対象Clickログを9日から40日に伸ばすことによって、その人本来の興味関心をより反映するというロジックを試しました。
また、「FOR YOU」をクリックした先の記事下の部分もパーソナライズしていまして、こちらにもCTR featureという、マシンラーニングを用いて最適な順番に記事を並び替えるというロジックも同時に適用しました。

これら2つのロジックを掛け合わせた4パターンでテストをしたところ、「FOR YOU」のCTRは4.8%上がり、記事下レコメンドエリアは3%程度下がるという結果になりました。そのため、CTR feature は適用せず、長期的興味関心ロジックのみを100%ユーザーに適用しました。こういったテスト結果を元に、ロジックをチューニングし続け、2019年は結果的に「FOR YOU」エリアのCTRはYoY167%と、大幅に上昇することができています。

A/Bテストでは、もちろんCTR高ければいいということではなく、主要6指標は死守し、売り上げが極端に下がったり、回遊を著しく阻害したりするような場合は100%適用しないなどの工夫をしています。またNEWSとしての公共性、公益性も担保しなければなりません。
テストの結果で大事なのは、「止める」ことではなく、ロジックをチューニングし続ける、ということです。
先ほどのテストで適用しなかった CTR feature ですが、実はこのテストでは記事下のクリック実数自体は上がっていたのです。ただ、記事下のインプレッション数も増加したためにCTRが下降したという結果が出ていたため、「ユーザーは迷ってうろうろしているのではないか?」「その理由は?」などをデータの観点から深掘りしました。ただ「止める」のではなく、要因を分析し、その結果を元にロジックをチューニングし続けたことによって、CTRの大幅上昇という結果につながりました。
最後に、事業部付アナリストの楽しさについてです。
まず1つめは、企画・編集・アライアンスと距離が近く、あらゆる取り組みの施策立案時から関わることが出来る点です。例えば、特集記事やテレビ局との放送連携などに企画段階から携われますし、KPIやテスト設計、効果測定などを一気通貫で担当できます。
2つめは、日本最大級のデータ量を扱えることです。Dailyで4億PVなんですが、ログとしてはDaily25億もヒットしています。この大量なログを分析できて、施策やレコメンドロジックなどに反映することができます。
そして3つめは、LINE NEWSはまだまだ発展途上だということです。今後は記事を提供するだけではなく、「ここでしか出会えない」を具現化していきたいと思っています。
まぁ楽しいことばっかり言ってもしょうがないので、逆にしんどさについても話しますと。
まずは、先ほどの楽しさと相反することではあるのですが、とにかくデータ量が多く、ただの集計だけでかなりの時間を要してしまうことですね。あとは、数字の事ばっかり言ってると嫌われる・・・とかもあります(笑)。
また、これも楽しさと相反しますが、単なる集計依頼も多々あります。他部署から見てもさっぱりなほどにデータ構造が複雑化しているので、簡単な数値でもプランナー自らで集計することが現状困難で、他部署にはQueryを都度書いて渡しているような状況です。
集計依頼が多いという点でも守りの分析(受け身)が多くなってしまっていて、まだまだ攻めの分析に避ける割合が少ないと思ってます。なので、データ分析側から企画し、「こういうデータあるからこういうことできるよ」「こういう分析結果が出たから、こういう新たな施策をやってみてもいいんじゃない」というようなことをどんどん発信していきたいと思っています。
まだまだやりたいこと、やれてないことがたくさんあり、これから作り上げていく部分も多くあります。やってみたい、興味あるよという方は、ぜひご応募ください!
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